「アナリティクス・ビジネス・コンサルティング本部」

設立の背景と狙い

日本テラデータは、2017年1月1日に新組織「アナリティクス・ビジネス・コンサルティング本部」(略称ABC)を設立した。
テラデータはなぜ新しい組織を発足させたのだろうか。そしてその狙いは何だろうか。ABCを発足した背景となる市場動向、その中でのテラデータとABCの位置づけと役割、さらに提供するサービスの具体的なイメージについて、同本部長の森英人に話を聞いた。

企業のIT投資は二極化している

データとアナリティクスに対する企業の投資に変化は出てきているのでしょうか。

:他社が追随できないようなビジネスモデルの構築を考えている企業では、データとアナリティクスに対して活発な投資が行われ始めています。たとえば、あるアドテクノロジーの先進企業では、広告効果の目標が達成できなければ無償でいいが、それを超えると効果に応じて課金する成功報酬型のビジネスを展開しています。このような企業では、データ活用が命綱になりますから、データとアナリティクスに対して億単位の投資も厭いません。一方で、定型業務の効率化にはできるだけ投資したくないと考えています。たとえば会計業務に関しては安いクラウドサービスで十分だというのです。
このような傾向は、通常業務はIAサーバで十分だが、ミッションクリティカルな業務はメインフレーム上で動かすといった形で昔からありました。ですが、今はもっとシビアになっています。

そのような動向にITベンダー側はどう対応しているのでしょうか。

:ベンダー側もこのような二極化に対応しています。クラウドでいえば、アマゾン ウェブ サービス(AWS)はコモディティなテクノロジーを徹底して低価格で提供しています。一方でセールスフォース・ドットコムは、カスタマイズの柔軟性が高く、バージョンアップ時にも停止しないサービスを価値に見合った価格で提供しています。
ソリューションに関しては、ケース・バイ・ケースでオープンソースとベンダーソリューションを使い分けする企業が増えています。オープンソース専業のベンダーが多数存在する中、先進的な独自ソリューションを追及するベンダーは機能指向かデータ指向かどちらかのアプローチで卓越したポジションを獲得しようとしています。
先に挙げたセールスフォース・ドット・コムなどは機能指向で先進性を追求する一方、データ指向のアプローチでは、現時点でテラデータの競合は存在しないと考えています。

テラデータの業界内での位置づけ

こうしたベンダーの動向の中で、テラデータはどのような対応をしているのでしょうか。

:テラデータは先進的な独自ソリューションが必要とされるユースケースには自信をもってそれを提案していく一方、自社ソリューションでなくても構わないケースにおいてはそれに固執せず、お客様にとって最善な組み合わせを提供しています。クラウドがお客様にとってベストと考えればAWSやマイクロソフトのAzure上に環境を構築しますし、ソリューションに関してもオープンソースがベストだと考えればそれを提供します。

テラデータのIT業界内での位置づけはどうなっているのでしょうか。

:テラデータが様々な技術に対応すると言っても、あくまでアナリティクスの分野での専門家として特化するという方向性は変わりません。
このアプローチの正しさを第三者が裏付けてくれています。米ガートナーが2017年に発表したマジック・クアドランド“Data Warehouse and Data Management Solutions for Analytics”では、テラデータは引き続きリーダー・ポジションを獲得しています。また2016年発行のフォレスター・リサーチ社の「ビッグデータHadoop最適化システム」でも、テラデータはリーダー・ポジションを獲得しています。

アナリティクス・ビジネス・コンサルティング本部の位置づけと役割

1月1日付けで発足したアナリティクス・ビジネス・コンサルティング本部の位置づけと役割について教えてください。

:テラデータのベンダー・テクノロジーに対しては既に一定の評価をいただいています。ただし、これはデータ・エンジニアリングに関してのことで、お客様の課題を解決し、ビジネスの発展に貢献するという観点からは不十分なものでした。たとえばお客様は、顧客離れや部品の欠陥などの問題で悩んでいます。このような課題に対してアナリティクスを活用するには、その課題の理解とアナリティクスの適用方法、対象データを定義した上で実際の分析を試行し、最終的にその分析プロセスが業務に組み込まれなければ意味がありません。つまり、データ・エンジニアリングに加えて、お客様の課題を整理し、アナリティクスを活用して新しいビジネス機会を見いだすビジネス・コンサルティングと、実際にデータを使ってコンサルティング結果を実証するデータ・サイエンスが必要だということです。
アナリティクス・ビジネス・コンサルティング本部は、ビジネス・コンサルティングとデータ・サイエンスを強化し、テラデータがアナリティクスに関する一貫したサービスを提供することを目指して設立されました。

従来のコンサルティングとは一線を画するアジャイル・コンサルティング

ビジネス・コンサルティングは昔からあるものですが、テラデータのコンサルティングの特徴とは何でしょうか。

:企業のケーパビリティをアセスメントし、改善の優先順位を決めてロードマップを設定し、業務改善を支援するという意味では変わりありません。ただし、進め方が全く違います。
我々はBVF(Business Value Framework)というコンサルティング・フレームワークに沿ってコンサルティングを進めます。

:BVFは極めて実践的なフレームワークであり、テラデータが設立以来35年間でお客様とともに培ってきたユースケースと知見が蓄積された、他社の追随を許さないものとなっています。「実践的」という意味は、コンサルティング専業会社はビジネス課題解決の方針策定支援が中心であるのに対し、我々は業務への組み込み実装にまで踏み込んで考えるということです。

具体的な例で違いを教えてください。

:たとえば、ある半導体メーカーではセンサーデータを有効活用し製造の歩留まりを改善したいと考えていました。一般的なコンサルティングでは、センサーデータの解析アルゴリズムと活用方法についてのレポートを提出するまでに留まることが多いのですが、テラデータのコンサルタントは現場で実データを調査しました。そこで分かったことは、このメーカーのセンサーデータの後半部分は汎用エリアでどんな項目が入ってくるか分からない、JSON(JavaScript Object Notation)では直接読み込めないデータフォーマットだということでした。しかし、ここがテラデータのノウハウなのですが、このようなデータでも構造化データに変換し分析を可能にするソリューションを提示しました。実装にまで踏み込むというのはこのような意味です。

ビジネスの方向性をロードマップ化する

BVFの周辺サービスについて引き続き、詳しく教えてください。

:今、お話したことは「アナリティクス・ソリューション」の一例です。他の部分を続けて説明しましょう。
「アナリティクス・アズ・ア・サービス」は、データサイエンティストが実際のデータを用いて仮説・検証を実施し、ビジネスとして成立し得るかを評価してからモデルを作成するプロセスです。
「オペレーショナライズ」は商用化ということです。つまり作成したモデルを実際の業務運用に適用し、ビジネスでの成果を生み出すということです。
「エデュケート」は実践的な教育です。たとえばモデルを作成した段階で設定した品質管理のしきい値が、数ヵ月後には製造ラインの改善で使えなくなることがあります。そのときにはモデルをリフレッシュしなければなりません。テラデータのデータサイエンティストが常駐できれば問題ありませんが、そうはいかないので顧客企業の人材でリフレッシュができるように教育しなければなりません。
特徴的なのはロードマップです。これはシステム化のロードマップではなく、ビジネスのロードマップです。ある航空機エンジンメーカーの例でいえば、まずは自社のエンジンの予防保守を目的にしたセンサーデータの活用が最初のユースケースでした。ところが次のフェーズとしてエンジン単体だけでなく航空機全体に関しての保守にも役立てられるユースケースを具体化し、直接の発注元である航空機メーカーに対して様々な提案や価格交渉ができるようになりました。それだけではなく、さらに航空機メーカーの発注元である航空会社に対しても燃費や安全性の向上などのテーマでコンサルティングを実施することが可能になりました。このようなビジネスの展望を組み込んだロードマップを作成します。
「RACE」は”Rapid Analytic Consulting Engagement”の略で、短期間でビジネス価値に繋がるコンサルティングを可能にするメソドロジーです。

ユースケースを活用したアジャイル・コンサルティング

RACEを活用するとなぜ短期間で価値あるコンサルティングが可能になるのでしょうか。

:RACEを用いたコンサルティングで最も特徴的なのは、ユースケースをベースにしたBVFを活用することでしょう。
ユースケースといっても単なる事例集ではありません。テラデータは、金融業界であれば顧客利益最大化や不正検知、小売業界であれば顧客経験による収益性向上、製造であれば生産性向上や故障予知など、お客様とともに作り上げてきた多数の知見があります。その知見の中には、前述したビジネス展望のロードマップや非構造データを構造化するノウハウ、あるいは実際に行ったワークショップの内容なども含まれています。
通常のコンサルティングは、アプリケーションマップを見ながら優先順位付けをし、その後ワークショップで課題を洗い出していくプロセスになります。これに対してRACEでは、まずお客様に同業他社だけでなくあらゆる業界のユースケースを次々と見せていきます。
ユースケースを見せていくと、お客様が大きな関心を示すユースケースが出てきます。ここから本格的なコンサルティングが始まります。お客様がそのユースケースに興味を持った理由を紐解いていき、そのユースケースをお客様の企業でどのようにカスタマイズしていくかを一緒に考えていきます。
最後の評価フェーズでは、データサイエンティストと一緒にサンプルデータをモデルに適用し、成果が出ることを検証してから、実際のビジネスに適用します。
ユースケースというテンプレートがあり、それをカスタマイズするので、従来型のコンサルティングでは数ヵ月から半年かかるところを、RACEであれば6週間が標準的な期間となります。開発方法論でいえば、従来型のコンサルティングが「ウォーターフォール」だとすれば、RACEは「アジャイル」と言えます。

RACEを活用した事例は既に出てきているのでしょうか。

:ある自動車メーカーから自動車を出荷する前に不良製品を検出したいという相談がありました。これに対しては、90%以上の確率で不良製品を出荷前に特定することができるようになっています。これは、強調しますが、既に業務運用されている事例です。

データとアナリティクスの全体を視野に入れてソリューションを提供

テラデータが提供するアーキテクチャーの全体像について聞かせてください。

:テラデータは、データ・エンジニアリングの分野で長い歴史を持つベンダーです。特にデータウェアハウスに関しては、それに最適化されたデータベースとハードウェアを提供している老舗であるというのが市場に浸透しているイメージでしょう。
現在では、データウェアハウスはもちろん、データとアナリティクスに関するアーキテクチャー全般を視野に入れて、その中からお客様にとって最適な組み合わせを提案できるベンダーだと言うことができます。
テラデータが提供するアーキテクチャーをまとめたものが、UDA(Unified Data Architecture)です。

:実際に使うツールの例を挙げると、オープンソースであれば分散処理基盤のHadoop、フロントエンドの分析技術であるRやPython、あるいはベンダーソリューションのSASなどあらゆる構成要素の中から最適なものを、アーキテクチャー全体を視野に入れた上で提供できます。
Think Bigを統合したのも、お客様に最適なオープンソース・テクノロジーを速いスピードで提供するのが狙いです。

より高度なコンサルティングの提供を標榜

最後に、アナリティクス・ビジネス・コンサルティング本部の今後の方針について教えてください。

:現時点では、私の配下に約30名弱のメンバーがいます。職種は、インダストリーコンサルタントとデータサイエンティストです。このうち、インダストリーコンサルタントとは、業界に精通し、実装の経験があり、BVFを活用したコンサルティングができる人材のことです。
当初は業界特化で人材をアサインしていましたが、進めていくうちに、それぞれの主要業界は決めながらも、ビジネスファンクションの切り口でもアサインできることが分かってきました。というのは、実際のコンサルティングでは、同業他社よりも異業種のユースケースのほうがイノベーションに繋がることが多いからです。
現在は特化した領域を深掘りしていきますが、市場のニーズに応じて、今後、組織体制・規模を拡大していきたいと考えています。組織を拡大しながら横展開していくことになりますが、リソースを集中して、より高度なコンサルティングができる組織にしていきます。

他のコンサルティング会社と競合しないのでしょうか。

:我々のコンサルティングは、ベンダーならではの実装を視野に入れたものなので、競合すると言うよりはむしろ、従来のコンサルティング会社を補完する存在です。従って、他のコンサルティング会社との協業は歓迎ですし、特に最上流のコンサルティングの部分については他社にお願いし、テラデータはアナリティクスの分野のコンサルティングに集中するという、補完関係があってもいいと考えています。

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