イズミヤ株式会社 | 地域に密着したきめ細やかな商品・サービスの提供とストアーブランドの強化にTeradataを活用

背景

デフレの進行や失業率の増加など日本経済が低迷する中、イズミヤは全国でもとりわけ厳しいエリアである関西地区を拠点とした店舗展開をしています。近年では、日本の大手ナショナルチェーンや外資系企業の出店が計画されるなど、さらに競争が激化しています。競合企業は、強力な商品調達力や資本力を武器に大型店を出店し、優れたロジステックスや情報システムを用いて合理性、効率性を追求してくると考えられます。その一方で、同社が生残り発展していくためには、リージョナルチェーンとしての優位性を発揮し、地域に密着したきめ細かなサービスの展開が必要でした。

目標

いいものをより安く、良質のサービスを展開し、地元の顧客に「イズミヤさん」と呼ばれ愛される企業へと発展するための取組みの一つとしてFrequent Shoppers Program(以下FSP)の導入を計画していました。その基盤システムとして膨大な顧客購買データを分析し、顧客のニーズを的確に捉えアクションにつなげることができる仕組を構築することが急務でした。

結果

「イズミヤクラブカード戦略」を通じて、個店での特徴あるサービスの提供や取組みが競合他社との差別化につながっています。


・優良顧客の維持・囲込みの実現
・顧客ニーズに対応した魅力的な品揃えや売場レイアウトの実現
・効率的なマーケティング活動の展開により10-15%の販促経費削減
・顧客セグメントの創出とターゲットマーケティングの実施

会社概要

1921年(大正10年)に「いづみや呉服店」として創業、その後、衣料品の販売を主とする「いづみや株式会社」を設立し、のちに社名を「イズミヤ株式会社」へ変更。食品の取り扱いを追加し日本ではじめて衣食住を揃えたショッピングセンターを開設しました。現在、関西地区を中心として全国に85店舗(2003年12月現在)を展開しています。立地に応じてスーパーマーケット、GMS、スーパーセンターの3業態を運営し、「関西深掘」「ええもん安い」をスローガンに掲げ、地元密着型のリージョナルチェーンを展開しています。

課題

イズミヤは広域に多店舗展開するチェーンストアであり、セルフサービス販売を通じてローコストを追求する方式を採用しています。一方で、地域密着の営業「イズミヤさん」と親しみをもって利用してもらえるようストアーブランドを強化していくという相反する課題を解決しなければなりませんでした。特に、優良顧客の維持や商圏内でのマーケットシェアーの向上をめざしてFSPの導入を検討していました。そのためには、膨大な顧客購買データをスピーディーに分析し顧客のニーズを的確にとらえ、ロイヤリティーを高めていくアクションをとることが必要であり、以上のことが実現可能な基盤システムを構築するうえで大きな課題となっていました。

ソリューション

イズミヤではすでに多目的での利用を前提に、14ヶ月分のレシート明細データを含む企業のあらゆるデータを集積するインフラとしてTeradataデータベースを利用したデータウェアハウスを構築中でした。新たなビジネス課題であるFSPの展開においても、このデータウェアハウスをフルに活用することで、比較的短期間でのFSPの立上げと顧客購買データの活用が開始できました。2000年3月からの実験期間を経て2001年3月には全店への本格展開を踏まえ、本部スタッフが利用する顧客データ分析アプリケーション゛R-FINDER゛が稼動し、その後FSPの本格的な拡大と共に店舗でも顧客情報を閲覧できる仕組みが順次段階的に導入されました。
また、2002年 9月にはその時々の分析ニーズに柔軟に対応するため非定型検索ツールTeradata Access Navigatorを追加導入しています。2003年9月には新たに地図情報と顧客購買データを連携し、刻々と移り変わる商圏の様子を各店舗でタイムリーに分析できる仕組みを構築しました。
このように、イズミヤではデータウェアハウスを中核として自社のビジネス戦略の進展にともない、適宜ソリューションを追加し拡張しています。尚、2000年3月より運用を開始した「イズミヤクラブカード」(ポイントカード)は、2003年12月現在で約190万人の会員を集め、店舗毎に顧客にあった創意工夫のある施策の実施で顧客の高い支持を得、その利用率は全売上高の80%を超えるに至っています。

導入効果

Teradata導入で以下の効果をあげています。

顧客維持と囲込みの徹底

イズミヤでは、新しく発行したカード利用率を上げ顧客の固定化を図るため、カード会員割引や月次プロモーション、各種イベントなどを積極的にとりいれ、顧客に喜ばれる施策を実施しています。また、一定期間内で指定金額以上を購入した優良顧客に対してはプレゼントを提供するなど差別化したサービスを行い優良顧客の維持に努めています。

魅力的な品揃えと売場レイアウトの実現

クラブカードデータを利用すると顧客のバスケットの中味がわかるため、どのような組合わせで商品が購入されているかを分析でき品揃えや陳列に活用しています。例えば、「土用の丑の日」に合わせて、うなぎと一緒に良く買われる商品を関連購買分析により発見し、結果的に、しじみ、みつばなどの関連商品を充実させ、陳列を工夫しました。すると、うなぎは例年並の売上でしたが、関連商品の売上は20%アップしました。同様に季節毎に発生する各種イベントに合わせて、木目細かな売場レイアウトの改善に努めています。

さらに、メーカーのもつマーケット情報とイズミヤの詳細な顧客購買データを用いて、その地域にあった戦略カテゴリーや品揃えを研究し、売場作りに役立てています。例えば、化粧品に関してはもともとカードデータの分析から40-50代の主婦層をターゲットとする品揃えを行っていました。しかし、メーカーのマーケット情報から、その地域には20-30代の独身女性顧客が多く住んでいることがわかり、競合他社も含めてその地域での独身女性の需要を見逃していました。そこで、これまで固定客が支持している商品をカットすることなく、20-30代の女性にも支持される品揃えをメーカーと共同で分析しました。ヘアーカラーを強化カテゴリーとし、売場を拡大した結果、一般化粧品の数量で30%、売上金額で20%アップしました。この取組みをきっかけに、20-30代の独身女性も含めて「女性のための生活便利店」に全面リニューアルしました。

効率的なマーケティング活動の展開と経費削減を実現

地図情報システムの導入により、クラブカードデータと地図情報をリンクさせることができるようになりました。従来行っていた店舗での来店客調査の結果と比較すると、格段に正確な情報を得ることができるようになり、来店顧客の分布やマーケットシェアー、来店時の道路アクセス状況などが明らかになり、個店毎のマーケティング戦略立案に役立っています。正確な情報に基づく効果的なチラシ配布エリアの設定や、また、競合店が出店したことによる商圏の変化に合わせた配布エリアの見直しに役立てています。絞り込みによりチラシが配布されなくなった地域の優良顧客に対しては、ダイレクトメール(以下DM)を利用してピンポイントで案内をしています。そのためDMのヒット率は25%と高く、チラシの配布回数や枚数を減らす一方で、売場での販促活動を充実させています。結果的に、10-15%強の販促経費削減に成功しています。

顧客セグメントの創出とターゲットマーケティングの実施

顧客購買データを分析し、ある一定の仮説にもとづく顧客セグメントを創出、ターゲットマーケティングを実施することで効果を上げています。例えば、「マタニティードレスをお買い上げになったお客様」のように顧客をグループ分けします。そのセグメント顧客のニーズや嗜好を予測し、次のライフステージに必要な商品の案内をすることで顧客との関係をさらに深めていきます。
具体的には、マタニティードレスを買った顧客に対して、3-6ヶ月後にベビー用品フェアのDMを送付します。不特定多数の顧客にチラシを配る方法と比べるとコストが圧縮でき、また、ターゲティングされたDM送付のためヒット率が向上し、当キャンペーンでは20%の顧客が案内商品を購入しました。その後もライフステージの考えを応用し、お子様の成長に合わせた、子供服や靴などの案内、保育園や学校に通いはじめる時期にはかばんや文具などの案内を行うなど様々な発展的な提案が考えられます。

メーカー共同プロモーションの実施

クラブカードデータの分析から、例えば、食品売場は利用しているが他の売場は利用していない顧客を特定することが可能です。他の売場も利用してもらえるようメーカーと共同でプロモーションを展開し、売場の認知度向上や売上拡大に努めています。例えば、化粧品メーカーはプロモーションの一貫として不特定多数の顧客に試供品の配布を行います。この方法は非常にコストがかかり、効果測定も難しいキャンペーンです。
そこでメーカーがターゲットしている顧客セグメントにマッチした顧客グループをクラブカードデータから特定し、ターゲット顧客に対して試供品を配布し効果を計測するキャンペーンを実行しました。メーカーは確実にターゲット顧客への商品認知度を上げることができ、一方でイズミヤは、これまで店舗を限定的に活用していた顧客に対して化粧品売場の認知度を高めることができ、リピート購買が期待できます。

Teradata を採用した理由

イズミヤは、年間1億4000万件のレシート明細データをはじめとする大量のデータをハンドリングできるハードウェア及びデータベースを必要としており、Teradataは同社の目指す情報インフラの構想に合致したソリューションでした。変化し続けるビジネスニーズに対応するための拡張性や柔軟性はもちろんのこと、世界の多くの大規模小売業でTeradataのデータウェアハウスが稼働し、実績があることも採用の大きな要因となりました。

「クラブカード戦略」(FSP)で無くてはならないのは情報分析。その為には、日々発生する大量の顧客データ×商品データ(POS)を効率的に保持し、いかに早く、有効に顕在化させることが課題でした。その解決手段としてTeradataにデータを集約し活用しています。定型情報ではつかめない顧客ニーズ。トライ&エラーの繰り返しでお客様の期待に応えられる店づくり、イズミヤファンづくりを目指した情報提供にチャレンジしています。


イズミヤ株式会社
情報技術部
部長 八木一雄 様