株式会社ジェーシービー | Teradata を活用した情報系システムの刷新と基盤確立

J-MARK の刷新により、決済総合ソリューション企業として必要なシステムインフラを強化することができました。JCB では、今回構築した業務分析基盤のさらなる活用の促進に向け、体制面での取り組みにも注力しています。具体的には、部門ごとに複数名の J-MARK 推進者を設置し、これら推進担当が部門で J-MARK を利用するに際して生じた問題の解決に当たり、ユーザーの分析スキルの向上を支援しています。これにより、J-MARK がさらに利用・促進され、JCB および関係会社の付加価値を増大していくことになるでしょう。

会社概要

株式会社ジェーシービー(以下、JCB)は、1961年の設立以来、常に日本のクレジットカードビジネスのパイオニアとして、業界をリードしてきました。1980年代初頭以降は、グローバルな事業展開にも積極的に取り組み、日本のカード会社では唯一の「国際ブランド」として確固たる地位を確立。今日では計190カ国で会員5,575万人、取扱店1,350万店に多彩なサービスを提供しています(2009年3月末)。

課題

JCB は現在、大きな変革期を迎えています。これまで展開してきた自社のクレジットカード事業に加え、他社の決済業務を受託するなど「決済総合ソリューション企業」として大きな進化を遂げつつあります。こうした新規事業を展開していくには、様々な変革が求められます。その 1つが ITシステムです。具体的には、決済スキームの提供者にふさわしい信頼性・拡張性に優れた「受託業務基盤」や「情報活用基盤」をいかに構築・整備していくかが大きなテーマとして浮上していたのです。

そこで同社では、他のカード会社が必要とする要件に幅広く対応可能な次世代基幹システム「JENIUS」の開発に着手。新規マーケットに必要とされる機能の迅速な提供と、ますます増大が予想されるデータを効率的に処理するシステムを構築しました。これは、約20年ぶりのシステムの全面刷新であり、JCB が発足して以来の最大級のプロジェクトとなりました。

この基幹システムの刷新に伴って実施されたのが、新しい情報系システムの構築です。各基幹系の業務システムから、営業実績や会員の属性・利用履歴などに関するデータを集約し、顧客分析やビジネス戦略の立案につなげることは、今後の事業展開に不可欠な事業と位置づけられました。

ソリューション

情報系システムに関しては、1993年に Teradata を採用し「J-MARK(JCB Marketing Support System)」を構築して以来、機能・対応業務拡張や、ユーザー数、保有するデータ量の増加に対応する形でサーバーを拡充。膨大な量の会員の属性データや売上データをマーケティング支援や営業支援に、有効利用をしてきました。そこで今回の刷新に際しても引き続き Teradata を中核にシステムを刷新し、各業務システムとのさらに密接な連携を実現することで、より大量で鮮度の高い情報を Teradata上で一元化するデータウェアハウス基盤を整備したのです。もちろん、その際には各種アプリケーションの機能の追加・拡充も行っています。

一方で、一部残っていたホストベースの帳票系システムを撤廃し、新システムへ機能を統合する取り組みも近々完了する予定です。これにより、ほぼすべての帳票を J-MARK から入手することができるようになっています。また、紙媒体で提供していた資料を、電子化して提供できるようになるなど、より機動性・柔軟性に富んだ業務環境が実現する予定です。

導入効果

まず注目したいのは、集計・分析を行うデータは日次が主になった点です。これにより、日々のビジネスの状況によって変化する様々な指標に沿った経営判断や、顧客動向に応じたマーケティング戦略の立案を、よりスピーディかつ的確に実施できるようになっています。

例えば、「顧客別の利益貢献度に応じたセグメント化」や「顧客のカード利用の特性によるセグメント化」、あるいは「購買履歴や決済状況による顧客与信のスコアリング」といった情報をすぐに切り出せます。そのため、会員の属性やカードの利用動向に基づいた新サービスの企画や、特定のキャンペーンに興味を持ちそうな顧客を抽出した上でダイレクトメールを送付するなど、より効率的な事業が展開可能になりました。

また J-MARK は、JCB 以外からの利用が可能となっている点も大きな特徴です。すでに 70 を超えるフランチャイズ各社に提供されており、JCB社内も含めると ID数で約4,500 のユーザーから、月当たり約60,000件の依頼処理がシステム上で行われています。フランチャイズ各社では、直接 J-MARK にアクセスして、年齢・地域別の顧客分析やキャンペーン効果の測定など、独自の視点に基づく分析を自在に行っています。

さらに、より容易にユーザーごとのデータ参照領域を柔軟に制御できるようになった点も見逃せないポイントです。これにより、他社のクレジットカード業務や決済業務を受託する際の対応も迅速化し、より短期間で受託サービスを開始できる体制も整いました。

Teradata を採用した理由

J-MARK の刷新に当たり、JCB では複数のベンダーに提案を依頼しました。最終的に Teradata が採用された理由のひとつは、1993年以来 Teradata を活用しており、その長年にわたる運用実績から高い信頼を寄せていた点が挙げられます。具体的には、システムとしての安定性や信頼性、あるいはデータの参照や検索に際しての処理性能が優れている点を高く評価していました。

加えて、業務要件の変化やビジネスの拡大に応じて、容易にハードウェアを増設しスケーラブルに拡張できることも、大きなアドバンテージとなりました。というのも、仮に増設に膨大な作業が必要となれば、それに伴うサービス停止が長引くことになります。特に J-MARK の場合、JCB だけでなく、フランチャイズ各社や JCB にカード業務や決済業務の委託を行っている企業も利用しているため、サービス停止が及ぼすインパクトは、甚大なものとなるからです。

現在、J-MARK が備えるデータ容量は約30TB ですが、この規模のシステムであれば、Teradata なら基本的には数日程度でシステムの増設作業を完了させることが可能です。事実、新システム稼働後の 2009年には、新たに機器が増設されてより大きな構成となりましたが、その際もシステム停止日を最小限に抑え、ほぼビジネスへの影響がない形でサービスを開始することができました。

J-MARK の刷新にあたり、改めて Teradata製品を含め、各社製品の比較、検討を実施いたしました。導入を決定するにあたり、製品の性能やコストはもちろんのこと、SI能力なども検討ポイントとしておりましたが、クレジットカード業界にも深く精通していた点も重要なポイントでした。
今回の J-MARK は、事業の根幹に関わるシステムとなるため、高い信頼性や拡張性に加え、高いパフォーマンスも不可欠な要件でした。しかし、こうした要件をすべて満たすためには、設計段階から業務プロセスやシステム間の連携を俯瞰しておく必要があります。今回のプロジェクトに携わったメンバーは、これらを踏まえた上で、当社の業務に対する理解を積極的に深め、上流工程から適切なご提案を実施いただきました。また、開発スケジュールがタイトになる中、開発体制を柔軟に編成いただくことにより、当社にとって、最適なシステムを構築することができました。 


株式会社ジェーシービー
業務システム開発部
情報システムグループ
次長 小堀 和之 様