現代のマーケティングではあらゆるデータを分析し、市場戦略を練っていくことが常套手段です。ビジネスの現場ではすでにデータの活用が進んでいるにもかかわらず、「マーケティングでビッグデータ活用が重要である」といわれるのは、どのような理由からなのでしょう。マーケティングとの関係を見ながら、ビッグデータの活用方法・具体的な事例を紹介します。

マーケティングにおいてビッグデータ活用が重要な理由
マーケティングでは既存データの活用がさかんに行われていますが、いまビッグデータが重視される理由には、どのような背景があるのでしょうか。
ビッグデータと以前のデータの違い
ビッグデータは、これまでとは比べものにならないほどの質、量、多彩さを持つデータの塊であるといわれます。日々蓄積され、常にそのときに必要な「生」の情報を取り出せる点が大きな特徴です。
これまでは一部サンプルデータを利用し、全体を推測するという方法が一般的でした。分析にあたり、データすべてを網羅することが現実的に不可能だったからです。この方法では、収集可能なデータだけが使われるため、結論は理論上の母集団の推定にとどまります。
一方でビッグデータでは、現実の状況を反映した十分な量のデータの活用が可能です。あらゆるデータを駆使して、現実と同義の結論を得ることができます。
ビッグデータの正しい活用ができれば、全体像の正しい把握が可能なのです。
ビッグデータの切り口は無限大
社会のありとあらゆる場所から随時蓄積されるビッグデータの特性により、アイデア次第でどんな角度の視点からでもデータを抽出して分析できるようになりました。
ビッグデータでは、実際の社会で起こっている状況があぶり出されます。これまでの思い込みや仮説を打ち破るような結果が表れることも、十分に起こりえます。
ビッグデータの世界では、ミクロからマクロまでのデータを自在に収集し、突き合わせてみることも可能です。
いかに常識にとらわれない発想ができるかにより、可能性は無限大に広がっていくでしょう。
時間の短縮化と顧客アプローチ
ビッグデータという概念には、データそのものに加え、高度で高速な解析処理を行い「新しい価値を生み出せる」という意味も含まれています。
過去のデータ処理手法では顧客ニーズや市場の動向の把握に時間がかかりすぎ、分析がトレンドに間に合わないといった課題がありました。ビッグデータの活用は、この課題を克服できる可能性があります。
また個別に収集・管理されるデータでは、顧客アプローチの材料としてのパーソナライズに限界があります。ビッグデータでは、自社サイトへのアクセスログやコールセンターへの問い合わせ、チャットはもちろん、SNS発信、モバイル端末での位置情報など、多様で詳細なデータまでを収集対象とすることが可能です。これを活用することで、個々の顧客に対してパーソナライズされた精度の高いアプローチが可能です。
マーケティングにおけるビッグデータ活用方法
マーケティングの分野における、ビッグデータの活用について見ていきましょう。
ビッグデータ活用のポイント
データの可視化 ビッグデータを活用する際は、「何をどのようにしたいのか」に沿ったデータ利用が重要です。 ビッグデータはさまざまなデータの塊ですが、それだけで利益を生み出すわけではありません。膨大なデータのなかから、ほしい情報が使う側に理解できるものとして提示されなければ意味をなしません。 例えば小売店の場合、扱う商品の市場の状況、仕入れ値価格の変動、生産状態、顧客の志向などが必要なデータといえるでしょう。天候によって影響がある品物の場合には、気象データも加えられるかもしれません。 しかしそれらのデータをいきなり「生」の状態で差し出されても、小売店の経営者が的確に活用するのは困難です。ビッグデータから得られるものが、その人にとって「可視化」されたものでなければ本当の活用価値は生じません。
各分野の最適化への活用 ビッグデータの活用は、ある条件のなかでの「最適化」を導くことを容易にします。建築分野における工期の決定や、製造現場での計画立案、流通分野のルート作成などが代表的な活用例です。 最適化は一度で完了できるものではないため、最適化を可能とする体制やシステムを構築し、PDCAをくり返しながら常に精度を上げていくことが求められます。
予測による市場優位性の獲得 ビッグデータを活用すれば、これまで以上に先の見通しが立てやすくなります。将来が予見できれば、ライバルより優位に立てる可能性が広がります。 ただし、将来を予見するには、「なんのために何を知りたいのか」「何を知ればどのような効果が生まれるのか」を確実にしなければなりません。さらに、予測によってどのような手立てが打てるようになるのかを設計し、もっとも精度の高い予測を得られるようにデータを分析する必要があります。
ビッグデータが活用される現場
ビッグデータが活用できる場面は無限にあるといっても過言ではないでしょう。実際に活用されている例としては、製品開発、チャネル開拓、適正価格の設定、プロモーションなどがあります。
特に注目度が高いのは、顧客とのエンゲージメント向上です。
ビッグデータをもとにすれば、誰がどこで何を求めているのかをより的確に把握でき、最適なコンタクト方法とタイミングがわかります。
ビッグデータは適切なフォローを可能にし、顧客との永続的な関係の維持に貢献します。
マーケティング戦略の最適化
市場調査、商品・サービスの開発、製造、流通、広告宣伝、販売、在庫管理など事業活動の全過程にわたるマーケティング活動を最適化することで、予算配分や事業運営の円滑化が可能です。
さらに、各事業分野においての効果測定や分析といったプログラムを実施するうえでも、ビッグデータによって的確な現状把握が可能です。カスタマーエクスペリエンスや顧客満足度の向上につながるでしょう。
ビッグデータ活用事例
具体的なビッグデータの活用事例を見ていきましょう。
アイトラッキングによるデータ収集
国内自販機で大きなシェアを誇る大手飲料メーカーでは、アイトラッキング(購入者の視点を認識するセンサー)によるデータ収集からの「真実のデータ」により、常識をくつがえし成果を上げることができました。
これまで消費者の目線は、左上から右、斜め左下へと移り、右横に推移する「Zの方式」が常識とされてきました。しかしデータを収集してみたところ、実際にもっとも視線が集まっていたのは下段という結果が得られたのです。
データ分析結果を主力商品の配置変更に活用したことにより、自販機の売上増につながりました。
年10億件のデータ蓄積で回転ずしをコントロール
売上No.1を記録し続ける大手回転寿司チェーンでは、寿司皿に取り付けたICタグにより商品鮮度や売上管理に取り組んでいます。
年あたり10億件も蓄積されるデータから、各店舗の時間帯による需要を予測し、レーンに流すネタや皿数をコントロールしています。
コールセンターの修理依頼にビッグデータを活用
関西の大手ガス会社のコールセンターには、ビッグデータ専門チームが置かれています。顧客情報のほかに気象データや交通渋滞情報などをあわせて分析することで、業務の効率化を実現しました。
コールセンターに修理依頼が入ると、顧客データから瞬時に型番や部品を抽出。顧客とのやりとりの回数が減り、サービス完了までの時間が短縮しました。
派遣される作業員の配置や、ルートの最適化にも同システムが活躍しています。
ビッグデータ活用によって業務の無駄が削減され、顧客満足度の向上にも貢献している好例といえるでしょう。
テラデータ顧客事例:
サウジアラビアを拠点とする通信企業Saudi Telecom Company (stc) パーソナライズでキャンペーンの受諾率40%、1カ月あたりのキャンペーン件数を50,000超に拡大しました。
スウェーデンとバルト三国に店舗を展開する銀行、Swedbank 利用可能なすべてのデータを統合して「カスタマージャーニーを明らかにする」しています。
まとめ: ビッグデータはマーケティングに新たな可能性を与える
ビッグデータの導入=マーケティングの成功というわけではありません。しかし、これまでにない新たな視点を持つことで、大きな可能性が与えられます。
ビッグデータの特性である量、発生頻度、多様性によって、これまでとは違う切り口からのマーケティングも可能となります。
実際、常識にとらわれない視点で成功した企業の事例も数多く見られます。
ビッグデータを導入して大きな成果を得るためには、課題への意識を先鋭化し、ビッグデータ活用の必要性を十分に検討することが重要です。
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