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AI×ビッグデータが導き出すものとは?2大最新技術の関係性と活用事例を解説

近年あらゆる分野で活用が進み、注目され続けているAIとビッグデータ。IoTの浸透などにともない、日々データ量が肥大化する社会では、このふたつをいかに活用できるのかが、進歩と飛躍のカギとなりそうです。しかし、なんとなくわかっているつもりでも、AIとビッグデータがどのようにつながっているのか今ひとつ理解できていないという人も多いのではないでしょうか。ここではAIとビッグデータが注目されている理由とその関係性について解説しながら、具体的な活用事例を紹介していきます。

AI×ビッグデータとは?

AIとビッグデータは、ともに今世界中がもっとも注目するトレンドの一つであることには間違いありません。最初にふたつの技術の基本的な知識を確認しながら、それらの関係性について見ていきます。

AIとビッグデータの基本知識

AI(人工知能)は1950年から開発が進み、時代を経るにしたがって期待と失望を背負いながら進化してきました。人工知能ということばが認知され始めた1960年代の第1次ブーム、1980年代には音声認識やデータマイニングといった技術を伴う第2次ブームが起こります。そして現在は2000年代からの、第3次ブームが継続しています。

今に至っても、AIは決して万能ではありません。SFの世界とは違い、社会や会社全体を牛耳るまでの能力はありません。現在のAIは、ある分野に特化する形での活用が行われています。そもそもAIとは、脳をモデルとして知的活動を行うプログラムのことです。経験と学びから自らの力で作業タスクを実行することが求められており、いちいち人間が手を差し出さなくても自動的に課題解決の方法を見つけ出しています。

第3次ブームで過去とは飛躍的に異なるのが、大量のデータを基に自らが知識を獲得するマシンラーニングや自動的にデータの特徴をつかんで定義付けするディープラーニングといった点です。これらの技術革新によって社会がAIに期待する役割に対し、大きな前進が見られるようになりました。

ビッグデータが社会の話題となり始めたのは、2010年以降です。

総務省のビッグデータの定義は「事業に役立つ知見を導き出すためのデータ」とされていますが、大きくは社会のあらゆる場所から発生するさまざまな形や種類のデータの集まりといったところでしょう。世界的には、米国の調査会社ガートナーが提唱した「Variety(種類)」「Volume(容量)」「Velocity(頻度)」をもつ情報群という定義が広く知られています。

ビッグデータということばの出現とともに、これまで見逃されていたり活用用途がわからずに放置されていたりしたデータにも注目が集まってきています。ただ、大きな期待と可能性を感じながらも、その有効性は未知数であると言えるでしょう。

AIとビッグデータの関係性

ビッグデータはインターネットの利用拡大やそれにともなうIoT化をはじめとした社会の急激なIT化によって、情報量が爆発的に増加したことから認知されました。街角の監視カメラ、交通網、工場、企業、家庭といった人類の社会活動、また気象や海流などの自然現象、さらに宇宙から降り注ぐ物質など、ビッグデータとして集積される情報は日々膨張し続けています。

こうして貯まり続けるデータは、既存の手法では活用が困難です。あまりに量が大きく、あまりに種類が多いため人間の手には負えません。活用するために情報の一部を切り出そうとしても、どこからどの部分が有用なのか、それを見つけるだけでもかなりの手間がかかります。

このビッグデータの活用はAIのディープラーニングによって精度が高く、多面的な解析が実現できます。一方で、AIは膨大な情報を学習しながら成長していきます。性能の良いAIとするためには、可能な限り情報を投入する必要があります。AIの開発と進化にはビッグデータがまさに不可欠です。

このようにAIとビッグデータは、双方にとって無くてはならない関係であると言えます。

AI×ビッグデータの課題

理想的な関係に見えるAI×ビッグデータですが、実際の活用に際しては多くの課題が存在しています。

データ整備 企業でAI×ビッグデータを活用するためには、まずデータの整備を行わなければなりません。ビッグデータは情報の塊ですが、自社で本当に必要とするデータ、事業に貢献するデータは限られています。会社の事業運営から集められるデータ、また必要に応じて外部から提供されるデータもあるでしょう。ニーズに従い、効率的にデータ活用するためには、最適化されたシステムの構築が重要です。 AIにビッグデータを正しく扱わせるためには、最終的なニーズに沿った情報を準備する必要があります。例えば顧客データがあっても、そのままAI分析に利用できるレベルでなければ結果の精度が低下します。適切な分析基盤があってこそ、AI×ビッグデータの本領が発揮されます。そして、それは、部門間をまたげる統合的なデータシステムでなければなりません。情報の活発な循環があってこそ、データの画期的な活用法も生まれます。膨大なデータに対応できる処理能力・性能を持った環境を整えることが求められます。

AI×ビッグデータを理解する人材の確保

AI×ビッグデータの導入で企業が頭を悩ませる最大の課題が、人材の確保です。

日本企業が海外のIT巨人企業に太刀打ちできない根本的な理由として常に挙げられるのが、IT人材の不足です。この現状を重く見た日本政府は、「AI戦略2019」のなかで人材育成の施策を立ち上げています。

AI×ビッグデータ活用を成功させるためには、データサイエンティストが欠かせません。各企業でも外国人材の採用などを視野に入れながら、自社内での人材育成プログラムを立案する必要に迫られています。

いかに良いシステムがあっても、大量のデータを保有していても、使いこなせないのでは意味がありません。実際に現場で解析を行える人材とともに、その業務を理解し、バックアップできる統括管理者の育成も並行して行う必要があります。


AI×ビッグデータの活用事例

AI×ビッグデータの技術はすでに実用化され、各所で使われています。具体的な活用事例を紹介していきましょう。


自動運転

AIの進化とともに、自動運転の精度も向上しています。その学習のベースとなっているのが、ビッグデータです。天候や路面状況、時間帯による交通量の違いなど、走行シーンのデータを蓄積し、AIに学習させることで運転操作の判断がさらに正確さを増します。さまざまなシチュエーションに対応する走行を学習するために、膨大なデータが重要なポイントとなっています。


人材採用

AIとビッグデータの組み合わせは、人材採用の場でも活用されています。

これまで採用の判断基準は、書類審査と試験、面接といった方法で得られる情報のみでしたが、AI×ビッグデータによって人材のスクリーニングに未来予測を導入できるようになりました。過去の人材の膨大な蓄積データを基に、従来の書類審査や適性テストでは見抜けない資質を把握します。追跡データを集積し、その人材タイプが入社後に活躍できるかどうかまで判定して採用材料に加えます。


顧客ロイヤルティ向上

顧客サービス向上のために必要とされるデータ収集、分析にAIを活用し、ビッグデータ活用との相乗効果を得られています。膨大に集められたデータのなかから、マーケティングのKPI(重要業績評価指標)に寄与する顧客行動分析を実施。また各顧客に適したクーポンの発券、Webバナーの表示といった、One to One レコメンドの最適化が実現しています。


自社顧客層の把握

小売業では、店舗のレシート情報を元に消費者の趣味嗜好を詳細に分析し、品ぞろえのヒントを得ています。行動分析を実施したうえで、その店舗を訪れる顧客のニーズを的確に読み取ります。満足度の高い商品提供で、売上向上が期待できるようになりました。


企業マッチング

企業マッチングにおけるAI×ビッグデータ活用では、過去の取引実績データから企業のスコアリングを実施しています。成立要因となる条件を選定でき、ビジネスマッチングが良好と思われる取引先候補抽出の精度が上がります。


防災シミュレーション

防災効果を上げるためにも、過去および現時点でのデータを適切に解析する必要があります。しかし、あまりに膨大なデータを前に、有効活用の手段に苦慮している研究機関が多数ありました。AI×ビッグデータの活用で、蓄積されたシミュレーションデータをさまざまな形で組み合わせ、想定されるあらゆる事態の予測が可能となりました。柔軟な条件変更に応じた予測データの抽出が容易に実現できるようになり、被害予測の精度向上に貢献しています。


必要とされる知見のピックアップ

現在世界中に蔓延しているウイルスへの次の一手を探るためにも、AI×ビッグデータが活用されています。例えば中国ではビッグデータプラットフォームに基づいた人の動きを示す人流データにより、ウイルスの感染経路特定が行われました。日々刻々と状況が変わるなかで、人間の手ではとても追いきれない情報までをも網羅するという技は、AIなくしては実現できなかったでしょう。まさにAIが「生きた」ビッグデータを解析し続けているさまが、リアルタイムで進行しています。


まとめ:AI×ビッグデータが眠った情報を揺り起こす

さまざまなデータがあふれる現代社会ですが、企業にとってどれほど有益な情報であっても活用できなければ意味を持ちません。AI×ビッグデータによって、ニーズの高い情報を絞り込み、適切な分析を経てデータを事業に役立つ資源へと変えられます。

今のところAI×ビッグデータの技術は発展途上であり万能とは言えませんが、既存のやり方では困難な課題を解決できる大きな可能性を秘めています。自社の課題がどのようなものかをより具体的に可視化していくことで、AI×ビッグデータ活用のチャンスを探ることができるでしょう。

すでに積極的に活用している事例を参考にしながら、新たな視点で自社の事業への活用を模索する姿勢が求められます。

参考:

Teradata 業界に変革をもたらす企業へのAI導入

顧客事例|通信|人工知能(AI)とマシンラーニングを駆使して顧客をセグメント化

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