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企業の取り組みを阻むものとは?ビッグデータ活用で直面する課題を解説

ビッグデータという言葉だけは広く浸透してきましたが、実際に事業に有益な活用を実施できている企業はごく一部に限られています。有用性については十分に知られているにもかかわらず、ビッグデータの本格的活用が遅れている理由とは何でしょうか。ここではビッグデータに関する基本的な考え方を確認しながら、注目を集める理由と活用上の課題について解説していきます。

そもそもビッグデータとは?

ビッグデータということばが認知されるようになって10年ほど経ちますが、実は厳密に統一された共通定義は存在しません。

日本では総務省の提唱するところにならい、「事業に役立つ集積データ群」といった捉え方をすることが多いようです。

世界的には米調査会社ガートナーが提唱する「Variety(種類)」「Volume(容量)」「Velocity(頻度)」の「3V」の要素による定義が広く知られています。

ビッグデータの出現はインターネットの普及とIT技術の進化によるもので、既存の情報以上に大容量であり、多様多彩な種類であることが特徴です。

具体的には検索データ、IoT機器から収集されるデータ、工場などの運用で収集されるデータ、交通量、気象、SNSに投稿される情報など社会に表出するあらゆるデータがその対象物となり、例えば単一の企業が収集した情報であっても相当量のボリュームであることがビッグデータと呼ばれる条件と言えるでしょう。

ビッグデータが注目される理由

膨大な量の情報が集積したビッグデータが、なぜこれほどまでの注目を集めるのでしょうか。


自社の課題解決への期待

その理由のひとつとしては、自社の課題解決への期待があります。

過去のデータから現在の課題解決への手がかりを見出すためには、相当なボリュームの情報が必要となります。ビッグデータを収集することにより、膨大なデータ群をより深く、幅広く探索していくことができるようになりました。

自社が有するデータだけではなく、社外から提供されるデータも対象にして、自社の課題に類似した解決法を探し出すことも可能となってきています。

ビッグデータ分析の新しい分析アプローチにより、これまで可視化できていなかった課題そのものを見出すという活用方法も考えられます。

市場での優位性獲得への期待

ビッグデータの活用価値は無限にあります。データの未知の活用方法を探ることは、新たな市場戦略の創出につながります。他社がまだ活用できていない分野でのデータの価値への気づきが、新しい市場・ビジネス・商品やサービスの発見となるでしょう。ビッグデータの独創的な活用により、市場競争における優位性を獲得する期待が高まります。

日本国内企業のデータ活用状況は、海外と比較して遅れが目立ちます。しかし、「商品企画」「製品・サービス設計」については、他の分野よりも活用率が高いのが特徴です。

前述のガートナー社による2019年の調査では、データを利活用している企業は全体で20%ほど見られますが、ビジネスの成果として反映されているのはわずか3%に過ぎません。

ビッグデータ活用による市場の優位性獲得の余地は、まだまだ十分にあると言えるでしょう。

正確な展望予測へのアプローチ

ビッグデータの活用では、統計的手法による未来予測がより高い精度で行われます。

天候データと売上動向の紐づけなどにより、商品やサービスの需要予測が正確にできれば、廃棄コストを削減しながら過不足のない商品提供が可能となります。購買行動データから嗜好性を探るなどの詳細な分析が進めば、消費者・顧客ニーズの外れのない推測が実現し、次のトレンドを確実につかめるようになるでしょう。

日本でもっとも売上を上げている東京駅構内の自動販売機の例では、ICカードの情報集積から顧客層を分析し、売上向上に成功しています。時間帯によって商品の入れ替えを行ったり、手薄な層へアプローチをかけられる商品を提供したりすることで販売量を増加しました。現時点で入手できる情報を最大限に活用して、次のステップを引き上げられた事例と言えます。


ビッグデータ活用で企業が向き合う課題

ビッグデータがビジネスに大きな影響を与えるということは、すでに広く理解されつつあります。その一方で、企業のビッグデータ活用が進んでいないのはなぜなのでしょうか。ビッグデータ活用に際し、企業が向き合うべき課題を見ていきましょう。

ビッグデータ活用の目的

最初に考えなければならないのは、自社がビッグデータ活用で目指すものとは何かということです。

ビッグデータの活用には、莫大な投資、システム構築の手間、さらに人材の確保など、金銭面、労力面でさまざまな負担が発生します。そうした企業にとってはかなり重い負担を覚悟してまで「何がしたいのか?」。それが明確にならなければ、大きなリスクを負うことになります。

ビッグデータ活用のしっかりとした目的がなければ、必要なデータを選択する時点でつまずいてしまう可能性があります。

データ保管の問題

ビッグデータは世界に漂う情報をキャッチするといったものではありません。

自社が必要とする大容量のデータを保管・管理するサーバやシステムが必要となります。ビッグデータ活用に取り組むためには、そうした物理的なもの(近年はクラウドが多様されている)から整備しなければなりません。さらに、膨大なデータに含まれる機密情報を扱うためのセキュリティ強化策も重要です。今は情報漏えいに対する社会の目が非常に厳しくなっています。万が一のことがあれば、企業としての信用を失いかねません。せっかく苦労の末ビッグデータ活用にこぎつけても、社内の一部が占有する状態では、企業運営に十分に反映されるのかは疑問が残ります。

セキュリティ対策を施しながらも、部署間の垣根を超えた活用が可能となる工夫が求められます。

データ整備の問題

ビッグデータと呼ばれるデータ群は、ほぼ無限に存在します。先の例でもあったように、ICカードの利用情報から売上向上のためのデータが得られるケースもあります。自社の事業に役立つ有用なデータを特定していくことが、ビッグデータ活用の大きなポイントとなります。さらに収集したデータ品質の管理を行い、本当に「使える」データとして磨いていかなければなりません。具体的にはデータの誤差の把握やノイズの排除を実施して、信頼性の高いデータに仕上げていくことです。

活用するデータの質の高さが、良好な成果に直結します。

データ分析の問題

企業にとってビッグデータ活用取り組みの障害となるのは、膨大な情報量を扱うためのシステム構築とともに、データ分析ができる人材の確保です。

現在の日本企業で圧倒的に不足しているIT人材ですが、ビッグデータを扱える能力をもった人材の確保はさらに困難な課題です。データ分析に精通した人材の確保と育成ができなければ、どのようなビッグデータ活用の戦略も前には進みません。

機密情報を扱うことが多い作業だけに、できれば社内で人材調達をしたいところですが、実際にビッグデータを自在に使いこなせるのは、データサイエンティストなど専門的に十分な訓練を受けた者でなければ務まりません。採用と育成の両面から短期、中長期の計画を立て、最終的に自社のニーズに対応できる体制となるよう取り組んでいく必要があります。

また、ビッグデータを直接扱うのではないにしろ、周辺の知識について社内スキルの向上を務め、ビッグデータの効果的な活用方法について広く意見を取り上げていく姿勢が大切です。

まとめ: ビッグデータの中に見えるものを追究する

ビッグデータが底知れない可能性を秘めていることは間違いありませんが、決して魔法のアイテムというわけではありません。そういう意味ではビッグデータもひとつのツールに過ぎず、自社が何を求めているのかを明確にできなければ単なる情報の塊以上のものとはなりません。

どのようにして課題に取り組むのか道筋を検討し、そのなかでビッグデータから何が得られるのか、どのような活用方法があるのかを考えていきます。

ビッグデータの解析にはさまざまな手法があります。ツールの活用やサービス業者のアドバイスを適宜利用しながら、社内におけるビッグデータ人材の確保・育成に注力していくことが求められます。

参考:

Teradata|分析、データレイク、データウェアハウスをクラウドで一元化

プレスリリース|損保協会、不正請求検知にテラデータの分析プラットフォームを採用

Teradata ブログ|テラデータが中国でのCOVID-19蔓延防止対策をサポート