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【TU-8】テラデータ戦略と課題解決事例|テラデータ


【Teradata Universe Tokyo 2017イベントレポート】

後半のビジネスセッションの冒頭、日本テラデータの代表取締役社長 吉川幸彦が「我々が想像していた以上のスピードで増え続けるデータをどうやって分析していくのかは、今日ご出席されているみなさまの喫緊の課題。それに少しでもお役に立てるようなイノベーティブなセッションを用意したので、ぜひ有効に活用していただきたい」と挨拶。

その後、テラデータ・コーポレーション インターナショナル担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント ピーター・ミケルセンが「テラデータのビジネス戦略」というタイトルで、顧客事例を交えた基調講演を行った。

テラデータのビジネス戦略

ミケルセンは、アナリティクスには現在、以下の3つに関する課題があるという。

  • ビジネス・アナリティクス

  • エコシステム・アーキテクチャー

  • データの俊敏性

では先進的な企業は、どうやってこれらの課題を解決してきたのだろうか。ミケルソンは、課題ごとに動画で事例を紹介した。

ビジネス・アナリティクスの課題解決~ボルボの事例

ビジネス・アナリティクスの課題とは、ビジネス部門は一般的にアナリティクス能力とスキルが不足していること、必要なアナリティクスとデータが入手できないこと、様々なインサイトを得ても本番運用に埋め込めないことなどだ。

その課題を解決したボルボの事例が動画で紹介された。

同社のジャン・ワッセン氏は以下のように語る。

  • ボルボでの大けがや死亡事故を2020年までにゼロにする。IoT、高度なアナリティクス、エンジニアリングにおける革新を活用して、これを実現する。

  • ボルボには、「世界で最も求められる、革新的な自動車ブランドになる」というビジョンがある。実現のためには、コアバリューである品質、安全性および環境意識の高さを堅守しつつ、統合型データアーキテクチャーを導入していくことが重要になる。

  • ボルボは、先進的なデータアーキテクチャーとそれに基づく高度なアナリティクスがIoT活用の鍵であることを理解しており、自動運転、プロジェクト26、その他新規事業にこれらを活用している。

  • 「プロジェクト26」とは、ボルボの利用者の平均通勤時間が片道26分であるということから、顧客の通勤時の快適さを最大限に追求するプロジェクトである。たとえば、休憩したいときにシートを後ろに倒しても安全に運行できるようにしたり、車内の動画やストリーミングのUXを向上したりしている。

  • スマートカーの新しいビジネスチャンスは無限大であり、まだまだ進化は続く。お客様が本当に楽しめるサービスを提供することで、他社が追随できない企業を目指す。

  • これら全てを実現するために、ボルボは「モノのインターネット(IoT)」を「モノのアナリティクス(AoT)」へと進化させる。ボルボは、無限のチャンスを掴むためにIoTを活用し、お客様に優れた安全性と利便性を提供し続けていく。

エコシステム・アーキテクチャーの課題解決~フレックスの事例

エコシステム・アーキテクチャーの課題とは、OSS(オープンソースソフトウェア)が視野に入ってきている現在、アーキテクチャーの選択が極めて難しくなっていること、テクノロジーが無秩序に乱立しサイロ化していること、コスト最適化のプレッシャーが強いことなどである。

その課題を解決したフレックス社の事例が動画で紹介された。同社は、250億ドル規模の売上高を達成しているアメリカのハードウェアデバイスメーカーで、様々なハイテク機器の部品を作っている。

同社のケリー・マクラッケン氏は以下のように語る。

  • 「世界中の人がよりスマートに生活できるように」というミッションの下、フレックスはIoTを活用して設計、エンジニアリング、そしてハイテクによる製造を進化させている。また複数の業界にまたがるソリューションを提供するために、フレックスは最大限にカスタマイズされた複雑なサプライチェーンを擁している。

  • フレックスはレガシーシステムを捨てて、データを厳しくガバナンスしながら、データ統合への道を歩み始めた。その最終目標は、サプライチェーン設計と工場生産を自動化することで取引先やパートナーに貢献することである。その実現のために予測分析を可能にしたいと考えた。

  • サプライチェーンの中からはもちろん、外からもデータセットを取り込んで、フレックスの持つ10年以上分のデータと統合した。その結果、フレックスは多くのことを予測できるようになった。障害、納期、在庫日数、リードタイムなどの予測精度が高まったため、フレックスの顧客は自信を持ってビジネス上の意思決定を下すことができる。

  • テラデータのビジネスコンサルティング・サービスは、フレックスに協力して、大量データ移行の成功に貢献してくれた。驚いたことに、我々が用意していたデータ格納スペースの7分の1にこれらのデータは収まったのだった。スペースに困らないことが分かった結果、我々は今後の成長のロードマップをより明確に描けるようになった。

データの俊敏性の課題解決~シーメンスの事例

データの俊敏性の課題とは、クラウドとオンプレミスの両方を活用して、パフォーマンスとスケーラビリティを最大化するという技術的な話である。クラウドが重要性を増した現在では極めて重要な課題である。

その課題を解決したドイツのシーメンスの事例が動画で紹介された。同社の汽車・鉄道の車両を作っている部門が、車両を売るビジネスから交通サービスビジネスに転換させた事例である。

同社のヨハネス・エンメルハインツ氏は、以下のように語る。

  • シーメンスは、デジタル化、IoTそしてクラウドを活用して、貨物輸送車の顧客に文字通り100%の信頼性を提供している。

  • 我々は貨物、自動車、列車、機関車、基盤からデータを収集することができる。収集するだけではなく、アナリティクスにより可用性を向上できた。製品である貨物輸送車がどのようにふるまうのかが予測できるようになり、どんな保守作業がいつ必要になるかまで分かるようになった。

  • 予知保全と部品障害に関するインサイトを得ることで、ビジネスモデルを事後対応型から事前対応型に変えることができた。その結果、シーメンスは事業チャンスを広げることができた。

  • 我々の新たな商品は「信頼性」である。我々の顧客と輸送物が、99.99%ではなく文字通り100%、時間通り安全に目的地に到着するためにあらゆることをするが収益につながるようになった。

  • 迅速なデータ活用のために、データをクラウドに移行したが、これは難しい決断だった。輸送業界は、安全性が特に重要なので、しっかり説明責任を果たさなければならない。テラデータの協力を得て、技術的要件を理解し、安全性に問題がないと納得した上でクラウドへの導入を決断した。

  • クラウド導入によりシーメンスは、 “Teradata Everywhere”を実現した。どこかでTeradataが必要になったときに半年待つ必要がなくなった。頼れるパートナーであるテラデータがすぐ側にいて、迅速なソリューション実装を支援しくれている。

テラデータの新たな戦略の3本柱

ミケルセンは最後に、テラデータ新戦略の3つの柱について説明した。それぞれの柱は、アナリティクスの3つの課題に対応するものとなっている。

1番目の「ビジネス・アナリティクス」に関しては、新しい事業部門を立ち上げた。

Think Bigを買収した結果、OSSとAsterおよびTeradataのアナリティクスを理解しているビジネス・コンサルタント、データ・サイエンティスト、データ・エンジニアの専門家集団ができあがった。しかし、データ・サイエンティストはまだ不足しており、非常に多くのデータ・サイエンティストを日本も含めて世界中から採用している。

2番目の「エコシステム・アーキテクチャー」のコンサルティング充実に向けて、現在かなりの投資をしている。OSS、Teradata、そしてそれ以外にもたくさんのテクノロジーがあり、テラデータにとっては非常に重要な注力分野である。

3番目の「ハイブリッド・クラウド」は、データの俊敏性に対応するための戦略だ。シーメンスの事例にあった“Teradata Everywhere”を達成するもので、これは非常に重要な取り組みである。パフォーマンスと高い可用性を両立することが今後大きな柱になる。

日本テラデータのビジネス戦略

テラデータのグローバル戦略の話を受けて、吉川が日本テラデータのビジネス戦略について説明した。

まず吉川は、データはビジネスをより良くするための「新しい石油」といえると指摘する。それをどう使うかで、それぞれの会社のビジネス状況は大きく変わってくる戦略資源だからである。

続けて、吉川は企業を大きく分けると2つになると分析する。

1つは、データを結果として、リアクティブな用途に使う、「データは排気ガス」と考えている企業。

もう1つは、新しいデータを活用して、プロアクティブに活用する「データは新しい石油!」と考える企業。

後者の企業では、社員一人ひとりが、データの重要性を理解し、新しい価値とイノベーションの源泉としてデータを活用し、ビジネス成果を最大化している。

このような時代背景を念頭に置いて、日本テラデータもグローバル戦略に従い、同じく3つの柱に注力する。戦略を実行するために、データ・サイエンティストとインダストリー・コンサルタントを組織的に統合し、顧客のインダストリーに特化したデータ活用を提言できる体制にしたと、吉川は強調する。

「ビジネス・アナリティクス」では、「カスタマーズ・ジャーニー」が重要という。その根拠として、テラデータが昨年9月のイベントで行ったサーベイによれば、62%のクライアントが「カスタマー・エクスペリエンスの改善が自社の最優先課題」と答えていたことを挙げる。

カスタマーは常にベストのオファーを受けたいと考えている。それに対応するためには、何百億のケースを分類して、その中から最適なものを選択しなければならない。しかも単に個々のカスタマーに着目するのではなく、全体像を俯瞰的に捉えた上で、特定のカスタマーの行動を分析し、最適なオファーをしていく必要がある。テラデータは、それが可能となる「カスタマー・ジャーニー・ソリューション」を提供している。

「ハイブリッド・クラウド」については、業界初のデータベース・ソフトウェアのポータビリティを保証した。オンプレミス用に購入したTeradata Databaseライセンスは、クラウド上でそのまま使える。逆も同じである。ポータビリティ、シンプルな4グレードのパッケージング、クライアントのニーズに基づく利用期間/利用環境の選択など、ハイブリッド・クラウド環境で安心してTeradataのソフトウェアを使ってもらえるように整理した。

「エコシステム・アーキテクチャー」については、「企業の中には、様々なデータ、分析ツール、システムが運用されているが、これらは目には見えないので気がつかないが、実態はつぎはぎだらけの建造物になっているかもしれない」と吉川は指摘する。

テラデータはUDAという解を持っている。

絵に描けばシンプルに見えるが、実際には非常に複雑であり、OSSも既存システムもあるし、データの置き場所も簡単に決められない。トータルで最適なシステムを構築していくことが、今後ますます重要になっていく。

「Teradataはビジネスを第一に考えて、その上でテクノロジーに基づいた提案する。コンサルティングから運用・保守まで一気通貫でお客様のご要望に応えていく」と吉川は約束し、話を締めくくった。

アドバンスト・アナリティクスの方向性

続いて、テラデータ・コーポレーション Think Big Analytics グローバル・サービス戦略バイス・プレジデント マイク・メリット・ホームズから、「アドバンスト・アナリティクスの方向性」というタイトルの講演があった。

冒頭でホームズは、「重要なことはビジネスの価値と成果であり、それらをどうやって迅速にスケールさせるかを我々はいつも念頭においている」と前置きし、本題に入っていく。

OSSは今後も重要

Think Bigのビジネスは、昨年末から日本でも展開されるようになり、その後急速に成長している。グローバルでも日本を含めたアジア地域でも非常にニーズが多く、Think Bigのデータサイエンス・エンジニアチームもテクノロジーチームも拡大した。それ以外にも、インダストリー・コンサルタント、UI/UXデザイナー、BIエキスパートを増員・増強している。それによって、テラデータのクライアントがビジネス価値と成果を享受し、それを通してイノベーションを推進できるようにしている。

OSSの取り組みも続けている。継続的にコミットしているのがPresto。これは非常に重要なパートナーである。Covalentというブランドガイドラインやブランドデザインを開発するためのUIプラットフォームにも力を入れている。データレイク管理プラットフォームのKyloとも深くコラボレーションしている。HadoopやSparkも相変わらず重要だ。

今後もたくさんのOSS製品が出てくるだろう。アジャイルな開発を実現するためには、アクセラレーターとフレームワークが重要であり、Think Bigが注力する分野でもある。これらを活用して、ビジネス・ユーザーとデータ・プラットフォームのギャップを埋め、データレイクをさらに活用して、より大きなビジネス成果を出せるようにしていく。

ビジネス課題とアナリティクスの進化

ホームズは技術だけでなく、顧客課題の解決にも注力していることを強調する。

ビジネス課題に関しては、

  1. カスタマー・イノベーション

  2. 製品イノベーション

  3. ファイナンス・トランスフォーメーション

  4. 資産最適化

  5. オペレーショナル・エクセレンス

  6. リスク低減

の6分野で具体的なアナリティクスのソリューションを持っている。それぞれの分野が他の分野に影響することが多いことも理解している。

アナリティクスも進化し続けてきた。企業では意思決定を下すことが最も重要であり、ルールベースのエンジンに基づいて意思決定が行われるようになった。だがそれ以外にも、リアルタイムでの状況把握も必要。また数字を理解するだけではなく、正しい数値なのか、異常値なのかも判定していかなければならない。

さらにモデリングも重要。数字の理解から価値を見いだす。問題の原因をモデリングで特定していく。そして予測する。その段階に至ると、AIが重要になる。人に変わってAIが意思決定できるのかが問題になる。だがAIによる自動的な意思決定はすでに萌芽が見られる。ガートナーは「AIを投資のトップ5に上げるCIOは、2020年までに30%を超えるだろう」と予測している。テラデータもこの考えに同意しており、AIに深くコミットしている。

データ・ドリブン型組織への脱皮に関する課題

また、データ・ドリブン型の組織になる必要もある。技術的にも難しいことではあるが、それよりも組織の考え方が抵抗になっている。業務部門の考え方や問題に対処する方法が正しくなければならない。したがって考え方を変えていくことが課題だが、具体的には以下の問題があって長年変わらずにきた。

  • 人材不足。特にデータ・サイエンティストが足りない。

  • ROIを実証するのが困難。考え方を変えて、因果関係ではなく相関関係の有無で判断し、結果指向で進める必要がある。

  • データ・ガバナンスの実現が困難。規制が厳しい業界では特に重要。多数の製品、ツールを使い、データが分散している中で、データ全体の品質やセキュリティを保証しなければならない。

  • モデルから得られたインサイトの正しさを担保するのが困難。

  • ビジネス・ユーザーがインサイトをビジネスに適用する、すなわち日々運用することが非常に困難。

  • 業務部門のモデルや演算に対する懐疑を解くのが難しい。ビジネス・ユーザーにトレーニングを行い、道しるべを提供することが重要。

テラデータはこれらの問題全てに対して「Think Big Analytics Velocityサービス」というソリューションを提供している。オンプレミス、クラウド、またはハイブリッド環境を問わず、あらゆる環境で適切なツールをいつ使うべきかまでコンサルティングしている。

AIに関するコミットメントと実績

さらにディープラーニングを含むAIへのコミットメントついて、ホームズは説明する。

AI人材については3層で考えている。コアになるのはAIのエキスパート。その周囲にAIによるビジネス価値を顧客に提供するプロフェッショナル。さらにその周囲に、AIツールやテクノロジーの知識を持つ、アーキテクトやコンサルタント、エンジニアが存在する。

この3層のチームによる事例はすでにいくつも存在する。その一部として以下の紹介があった。

  • ディープラーニングによるリアルタイムの物体検出:車載カメラから自動的に物体を検出し、シーンラベリングと組み合わせて、ナビゲーション精度と渋滞を改善。

  • ヨーロッパのメガバンクでの不正アクセス検知:不正検知を50%以上改善。それよりも重要な成果は、80%以上の偽陽性(一見不正に見えるがそうでないもの)検出の低減であり、このことで大きな省人化と省コストを実現した。

  • ハイマーク社では、3400万ドルの不正額を特定。

  • ベリゾン社では、1200万ドルの解約リスクの高い契約を特定。

Think Bigの方法論

ホームズは続けて、Think Bigが顧客に価値を提供するための方法論について語った。

1つは、RACE。顧客の課題を約6週間で解決。顧客と共同で迅速にインサイトを獲得する。ビジネス・ニーズに近いユース・ケースをカスタマイズするのが迅速に進められる理由だ。成果を証明ができれば、すぐに運用に落とし込んでいく。小さく早く成果を出しながら、組織全体にスケールさせていく。

ディープラーニングにも方法論を持っている。その中でも特に重要なのは、ディープラーニングにおいては、ライブ・テストが絶対に必要だということ。モデルを本番運用する前に、現場で実際のデータを使ってテストする。そのテストが成功してはじめて本番稼働する。そうしないと、モデルはできたが本番では使えないことがあり得るからだ。

もう1つ、クロスファンクショナルチームで対応することが必須となる。異部門同士で意見を戦わせつつ、パートナーシップを形成していかなければならない。

ホームズは、「適切なテクノロジーを選んで成果を出すことも重要だが、ツールはお客様が価値を生み出すためにあり、それを正しく選択してビジネス成果を出すことのほうに我々は着目している。こうした我々の新たな側面を理解していただきたい。そのために、ディープラーニングについても非常にエキサイティングなことを行っている」というメッセージで話を終えた。

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