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【TU-16】近未来予測への取り組みについて|アイシン・エィ・ダブリュ株式会社


【Teradata Universe Tokyo 2017イベントレポート】

先進的な企業の事例として、アイシン・エィ・ダブリュ株式会社(以下アイシンAW) VIT事業本部 コネクティッドソリューション部 部長 石川裕記氏から「近未来予測への取り組みについて」というタイトルで、自動運転の実現に向けた、世界的に見ても先進的な取り組みについての講演があった。

アイシンAWが実現してきたこと

1969年、AT(オートマチック・トランスミッション)が標準となる新時代を予見した、米ボーグワーナー社とアイシン精機は、合弁でアイシンワーナー(現アイシンAW)を設立する。

以来、アイシンAWはひたむきに「品質至上」という経営理念を貫いてきた。電子部品に至るまでグループ内の製造にこだわり、先進性と徹底した品質保証で顧客の信頼と感動を得るよう努力してきた。

少数精鋭の技術部隊で、世界水準の第1号ATを開発して以来、数々の世界初の製品でATの技術革新をリードしてきた。以下はその例である。

  • エンジンの回転数を抑え、ノイズ低減と燃費改善を実現した、オーバードライブ付き4速AT

  • エンジンと直結した、高燃費のロックアップ機構付き4速AT

  • 電子制御式を実現し、ATの効率性・快適性を向上

  • 第2次石油危機がきっかけのFF化の中、限られたスペースで世界初のFF4速AT

  • FRではAW初の独自技術だけで開発されたパテントフリー4速AT

1987年には、ボーグワーナー社との合弁契約を終結し、アイシンAWに社名変更する。その後も、欧州進出の先駆けであるFF4速、世界を席巻したFF初の6速、AW初のCVT、部品メーカー初のFFハイブリッドシステム、FR初の8速AT,FF初の8速ATと多様化・高度化するニーズに幅広く応えながら、車社会の安全・快適・環境を支えている。

ATだけではない。アイシンAWは早くからクルマの「知能化」に取り組んできた。クルマ究極の理想形である「馬のようなクルマ」をテーマに、繊細で柔軟な制御技術を追求。これは現在のVIT(Vehicle Information Technology、クルマの情報処理技術)事業につながっている。

1992年、人の声で道案内するボイスナビゲーションシステムを開発し。それ以降のデファクトスタンダードとなる。また、地図の先読み情報を基にATの変則を制御するナビマチックシステムを開発した。

センターからの情報によるドライバーへのオンデマンド支援にもいち早く着手した。2007には走行車両からの情報を含む様々な情報を収集・解析・予測することで、より正確な地点情報を提供することに成功する。世界初の地図差分配信システムにより、常に更新された地図で最適な道案内を実現。センター・モバイル・車載機を連携することにより、数々の製品や技術を具現化してきた。

クルマ社会の動向

現在の自動車業界は、コネクティッドカーと自動運転の話でもちきりだという。

日経BP社の「メガトレンド 2015-2024 自動車・エネルギー編」によれば、自動車産業に影響を与える11の変化があるという。その中からアイシンAWの事業に特にインパクトのあることは以下の5つだと石川氏は説明する。

  1. クルマの情報爆発:クルマから大量の情報が送られてくるようになった。

  2. 所有から利用へ:Uberのようなサービスが出てきて、クルマが売れなくなる。

  3. ハードからソフトへ:アイシンAWもソフトにかなり比重が移ってきている。

  4. 世界的なエネルギー価格の上昇と超省エネ化:PHV(プラグインハイブリッド)やEVへの移行が急速に進んでいる。

  5. 人の気持ちを推定する技術の進化:UXの向上が企業の課題になっている、また社会に受け入れられるものを作る必要がある。

主要な自動車メーカーはこぞって、コネクティッドカーのサービスを開始している。クルマの性能指標は「走る・止まる・曲がる」だったが、これに現在は「つながる」が付け加わった。

自動運転についても、トヨタ、グーグル、テスラ、ロボットタクシーなどからプロトタイプが出てきている。

アイシンAWが実現する未来

今後しばらくは、コネックティッドカーを活用して、自動運転を実現していくことが自動車メーカーの目標となる。そのキーワードは「近未来予測」だと石川氏は言う。

「近未来予測」とは、自律センサーによる対物検知領域である100m~200mの先、時間にして数十秒から数分後、1㎞以上先やカーブや大型車の向こうなど、見えないところをあらかじめ知ることである。これにより加減速の変化が少ないスムーズな運転が可能になる。また、突然の変化は事故につながるので、それを避けるという意味で、近未来予測は安心・安全にもつながる。

では、近未来予測に必要な情報とは何だろうか。

我々が見慣れている、クルマからの風景にも自動車、対向車、道路面、白線、標識、看板、街路灯、空、鉄塔、遠くのビルなど様々な「情報」が存在している。また自動車といっても車種や色などさらに詳細な情報がある。これらを全部データ化して、集約して活用できることが求められる。

ただし、データがあればいいというわけではなく、データの中身が分からなければ意味がない。センサーデータであれば、なぜあるビットが立っているのかは、たとえばアクチュエーターの動作を知らないと分からない。位置データについても、2次元の座標データだけだと、高速道路なのかその下を走っている一般道なのか区別できない。いま走っているのがどちらの道路で、そこには何車線あるかまで分かる必要がある。

こういったことをアイシンAWは、テラデータおよびThink Bigと共同で、ディープラーニングを活用しながら、コンテンツ化していきたいと考えている。動的情報、准動的情報、准静的情報、静的情報の4つに階層化したコンテンツとして整理する。

現時点では、道路と移動物の認識までできてきている。障害物なのかそうでないのかを人間は無意識に見分けているが、機械はまだそこまでに至っていない。反対車線なら無視するなどということを一つ一つ学習させて、認識精度を高めている最中だ。

もう1つ紹介したい取り組みは、地図情報を活用した看板の認識である。我々人間は、タクシーの運転手に「もう少し先に行ったら××××の看板があるので、そこを右に曲がって」というような指示をする。これを機械にやらせようとしている。

看板には名称、電話番号、住所、店舗や会社の説明等、大量の情報が記載されている。特に日本は看板だらけなので、看板情報を集めてコンテンツ化できれば、ビッグデータとして活用できる。カーナビの高度化、ひいては自動運転にもつながる。

看板以外にも、クルマから見える風景は情報の宝庫だ。電線がどう敷かれているか分かれば、空中の空き方が分かる。それが分かれば、ドローンを飛ばせるところが分かる。行列ができている店も分かれば、カーナビと紐づけて、人気店情報を案内できる。

「クルマからは本当にいろいろなものが見えている。全部コンテンツ化できれば、きっと楽しい未来につながるはずだ」と石川氏は夢を膨らます。

アイシンAWは、現在はカーナビと自動運転に注力しているが、アイシングループ全体ではアクチュエーター、ドア、ボディなど様々な自動車部品を作っている。車両情報が集まれば、グループ全体で様々なことができるはずだ。

「アイシングループだけなく、カーシェア、運送、保険などでも、クルマからのデータを活用できることはたくさんあるはずだ。しかし、当社は製造業で、これらの領域はついてはほとんど知らない。そこで、別業界の企業とコラボレーションして、クルマで収集できる情報をもっと活用できればと考えている。共感してくださる方がいたら、ぜひ声をかけてほしい」と呼びかけて、石川氏は講演を締めくくった。

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