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企業におけるAI導入を成功に導く“特性”の理解とブレークスルー


テラデータが目指すAIとは

AIのことを話す前に、AIという言葉を定義しておくべきだろう。「AI」の言葉の捉え方は人それぞれであるため、定義をせずに話を進めるとぼんやりとしてしまうからだ。

テラデータが目指すAIとは、次の通りである。

「ディープラーニングなどを含む先進的な機械学習を活用し、企業がその分析活動を通じて、認知から予測、さらには判断と行動までの自動化を目指し、大きなビジネス成果と新たな企業価値を獲得すること」

この中で特に強調したいのは、まず「企業」という主語。企業にとってのメリットを求めている。また、企業が「行動」することを「自動化」によってヘルプするという点がポイントとなる。

人間の行動とAI

AIを語る前に、人間の行動を図式化していくことにしよう。人間の行動を分解すると、「気づく」「学ぶ」「理解する」「推論する」「決断する」「行動する」の6ステップに分けられる。

▲人間の行動を6つのステップに分解したもの

BI(Business Intelligence)と企業の行動としてとらえた場合には、6ステップのうちのひとつめ、「気づく」部分をBIが担当する。その後の5ステップは、人間が実施することになる。例えば、BIにより売上推移レポートが画面に出力されると、そこから市場の流れや自社の強みといったことを人間が推論するのだ。この場合、人間の担う範囲は比較的広いことになる。

予測分析(Predictive Analytics)においては、機械が担うステップはさらに増え、「気づく」「学ぶ」「理解する」「推論する」を担当する。例えば、顧客Aが今月離反する確率が80%だと予測することができるが、それを放っておくのか、なんらかの手を打つのか、といった決断と行動は人間が行う必要がある。

AIにおいては、決断や行動までを担うことが可能だ。現在実用化されているものにチャットボットがある。例えば人間とチャットで対話をしながら、航空券の予約までを自動的に実施する。このように、ひとえにAnalyticsといってもジャンルが色々あると理解いただきたい。

マーケティングとIoTの事例

ここからは、AIを利用したいくつかの事例を紹介していく。ひとつ目はマーケティングの事例だ。自動車の信号待ちからよく見える場所に、デジタルサイネージの広告用ボードが設置されている。別のカメラによる画像解析を利用して、その車のエンブレムを識別し、ブランドを特定する。そうすると、それに合わせた効果的な広告を表示できるという仕組み。それを全自動で操作しており、顧客の好みに合わせた1対1の広告に近い効果を得ている。

▲AIによる実行までを自動化したIoTの事例

工場などで使うIoTにもAIが使われている。センサー技術の向上により、最近の工場ではセンサーがたくさん埋め込まれている。作っているものの回転数、温度、圧力等さまざまなものが大量なデータとして蓄積され、そこからパターンを抽出することで、機械の故障を予測することができるのだ。不用意にラインが停止するとかなりの損失になるため、壊れそうな機械は計画的に停止してメンテナンスしたり、交換することが可能になる。

このように、現在のAIが適用しやすい領域は、日常的な業務や、オペレーショナルなアクションとなっているが、将来的には企業の戦略的な経営判断に関わるような大きな判断を担うようになるだろう。

エンジニアによるモデル実装の難しさ

▲AI開発のワークフローを単純化したもの

AI開発のワークフローを単純化すると、「課題の共有」「解決策の提案」「プロト版開発」「モデル実装」という順になる。AI活用を成功させるという観点で、重要になるのはフローの最後にあるモデル実装だ。AIを開発して終わりではなく、企業のIT環境に埋め込み、日々の業務に適用する必要がある。業務で活用されなければ、ただの絵に描いた餅になりかねない。

とはいえ、モデル実装は時間が掛かり、9~12カ月かかる場合もある。一方で、モデルを実装しないことによる損失が多額になる傾向がある。

▲モデル実装における考慮すべき事項は複雑に絡み合っている

モデル実装において、さまざまな考慮すべき事項は複雑に絡み合っている。例として、マーケティングにおけるモデルを取り上げてみよう。集客において、イベントに来てくれそうな人にメールを出す場合、モデルを作ったのが半年前だとして、それが今もまだ有効に使えるだろうか。半年も経っていれば、世の中が様変わりしており、効果的ではないかもしれない。その精度を計るのが「精度モニター」だ。その際に、自動的にモデルを作り直せる「チャンピオン・チャレンジャー」という機能を使うこともある。それらひとつひとつの考慮事項が関わってくるのが、モデル実装の難しさとなる。

まずユースケースの整理が必要

AIを活用した新規事業で成功するためには、まずユースケースを理解することが重要である。オートモーティブを例にユースケースを整理してみると次のようになる。

▲AIを活用するためには、まずユースケースの整理が必要

縦軸は「先端技術」対「コア技術」、横軸は「既存業務」対「新しい業務・新規事業」。ここでは、コア技術とは、比較的確立された技術を指している。

左下の「コア技術」かつ「既存業務」というのは、いま人間が担当している業務をAIが担うということで、さらには技術も安定していて効果が見えているケース。例えば、品質管理の分野で、顧客からのクレームを分野ごとに整理するといったことが挙げられる。「AIに仕事が奪われる」と言う文脈では、ほぼこのエリアを指すことになる。

左上の「既存業務」かつ「先端技術」を使うものは、自動運転があてはまる。自動車の運転はすでに人間がしていることだが、それを機械に置き換えるには、技術の発展が必要となる。

右下は、「コア技術」と「新しい業務・新規事業」の組み合わせで、AIによって今までなかった業務が生まれる領域。弊社が手掛けたプロジェクトの中には、走行車にセンサーを取り付け、故障しそうな箇所が見つかると、「数か月以内にディーラーに来てもらってください」とアラートで知らせるものがある。「故障しそう」という状態でディーラーに見てもらうという事業はこれまでになかったため、AIにより生み出された新規事業ということになる。

これらを活かして、右上の、「先端技術」かつ「新しい業務・新規事業」が生まれる時代になってきている。

いずれにしても、これらのユースケースを間違えると実現性に乏しかったり、実行してもビジネス価値が出せないといったことになりがちだ。縦横両方の軸を把握して、どのエリアで勝負すするのか意識しなくてはならないだろう。

実際にAIを導入し、ビジネスで活用するためには、画像やテキスト、IoTデータや大規模データを取得して、マンパワーが必要なデータ整理、モデル構築などはもとより、ビジネスの知見や自動化のノウハウを持ってビジネスモデル実装を行っていかなければならない。テラデータはこれらを実現するサービスを提供する。また、テラデータは、データ・マネジメントも含めて、AIやアナリティクスを実行する統合分析プラットフォームとしてTeradata Vantageの提供も開始している。ぜひ、ご活用いただきたい。

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著者紹介

津田 高治(経営情報学 博士) テラデータ・コンサルティング本部 データ・サイエンス・プラクティスジャパン・プラクティス・ディレクター

USの大学院から経済学修士を取得した後、2001年よりアナリティクスを始める。外資系のSIerやソフトウェア・ベンダーにて流通・保険・メディア・製造など各種業界でアナリティクス・プロジェクトを実施。ソーシャル・メディアのデータ活用に初期から参画。エンドユーザーの属性や嗜好を把握し、最適化したコンテンツを提供する1 to 1マーケティングを実施するためのモバイル・プリケーション開発に関わる。現在、データサイエンティストのチームを統括。IoT、デジタル化でアナリティクスの需要が高まるなか、全業種のプロジェクトをデータ・サイエンスの分野から指揮、未来のアナリティクスを構想する。企業のAIソリューション導入判断、ソリューション構築、実装に関する十分なスキルを持った人材不足に対しては、エンタープライズ向けの各種AIソリューション及びサービスを推進中。

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