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CMOの存在がマーケティング事業を加速する!ビジネスにおける重要性と企業の事例を解説

世界市場で戦っていくためには、顧客の心をつかむマーケティングの強化が不可欠です。海外のトップ企業の多くは、マーケティング責任者としてCMO (Chief Marketing Officer/最高マーケティング責任者)を置き、マーケティング活動の充実を図っています。一方で、企業全体の運営にも大きな力をもつCMOは、日本国内ではまだあまり浸透していません。そこで、CMOとは何か、なぜその存在が重要といわれるのかを解説しながら、CMOが活躍する企業の事例を紹介します。

今注目されるCMOとは

CMO はChief Marketing Officerの略称で、日本語では最高マーケティング責任者と訳されます。マーケティング部門の責任者は日本企業内でもごく普通に置かれてきましたが、CMOはあまり一般的ではないようです。CMOの果たすべき役割は、既存のマーケティング担当者とどのように異なるのでしょうか。


マーケティング全体を統括するCMO

CMO はまず、経営幹部のひとりであることに注目です。企業のマーケティング活動全般を統括するのはもちろんのこと、マーケティングの視点をもって経営戦略へ貢献すべき役職であることが、従来のマーケティング部門責任者とは異なる点です。

CMOは、マーケティングを含めた広い視野をもって企業運営に携わることから、いわば経営を熟知したマーケターといえるでしょう。


現在、多くの国際的な企業では、経済的競争力への投資として、人材投資やマーケティング投資に力を入れています。

2014年に経済産業省の商務情報政策局が発行した資料によると、米国では当時すでにフォーチュン誌のリストに掲載される上位500社の62%がCMOを置いていました。マーケティング先進国である米国においては、全社一体で行うマーケティング戦略を担う役職として、CMOの役割が重視されていることがわかります。

一方、日本国内の時価総額上位300社のうち、同時期にCMOを任命しているのはわずか0.3%にすぎませんでした。


2016年にガートナージャパンが実施した調査では、日本企業でCMOもしくはそれに相当する役員を置いている企業の割合は前年の29.8%から39.9%まで増加しましたが、それでも米国に大きく遅れをとっています。


CMOの存在が求められる背景

日本国内ではいまだに理解が進んでいないといわれるCMOの存在が、ようやく注目されはじめています。背景にあるのは、市場の多様化・複雑化です。

少子高齢化が急激に進み、国内消費の成長が期待できない時代にあって、国際市場への進出は規模の大小に関わらず企業の命題となっています。国内外のライバルとの競争は激化しており、良い商品やサービスを開発したからといって、必ずしも成功できるとは限りません。

またITの普及により、顧客行動には大きな変化がもたらされています。商品・サービス・企業・トレンドについての情報収集が容易になり、個人のニーズも細分化しています。

数多くの選択肢のなかから、消費者が自由に購買対象を選びとる環境が整えられた状況下で、企業側にはモノやサービスに対する意識変革が求められています。自社の提供する価値を押しつけるのではなく、顧客体験を重視する、顧客を中心としたマーケティングへと変えていかなければなりません。


そのためには、広告・宣伝、営業といった部署のみにとどまらない横断的なマーケティングが必要です。また厳しい消費者の目を意識した、ブランドコンセプトがぶれない企業活動であることも重要となります。

これらの要件を満たし、競争力を高めていくためにはマーケティングに精通し、経営視点も併せ持つCMOの存在が不可欠といえるでしょう。


ビジネスにおけるCMOの役割

企業組織におけるCMOの役割を整理してみましょう。


マーケティングの統合的リーダー

CMOに求められるのは、当然のことながらマーケティング部門の総合的リーダーとしての強い統率力です。企業・ブランドとしての統一性を保ちながら、マーケティング施策を推進できる能力が必要です。

CMOは、組織内の人的資源を考慮しながら、スピーディーな事業運用をめざします。

また、マーケティングの最重要課題でもある、顧客との良好な関係構築に向けた取り組みも率先して行います。


企業経営への貢献

CMOが単なるマーケターとの一線を画す点は、経営視点を持ちながらマーケティングに尽力するという意識です。

ともすればゴールが不明瞭になりがちな、マーケティング事業・活動について常に透明化を図り、経営陣に対しての説明責任を担います。経営戦略をマーケティング戦略へと落とし込み、効果が期待できる具体的な施策へ展開する必要があります。

これらを確実に進めていくためには、部門・セクションの状況を常に的確に把握していることが大前提となるでしょう。


IT部門との連携

顧客を核とするマーケティングの実現には、ビッグデータの活用が不可欠といわれています。これまで使われていた単独のデータ群だけでは、多様化する顧客のプロフィールをつかむのが困難です。

次世代型のマーケティングへと移行する過程においては、IT部門とマーケティング部門の隔たりをなくすことが重要です。

互いの仕事への理解が不足していると、いかに優れたデータ分析ができてもマーケティングに反映されません。

CMOは両部門の調整役となり、現実的に活用可能なデータが現場に円滑に供給される環境を整備します。


マーケティングに対する意識改革

日本においてCMOへの理解が進まない原因のひとつとして、マーケティングについての考え方が海外と異なる点が挙げられます。

日本社会におけるマーケティングとは、これまで広告や販促といった位置づけで見られてきました。そのため、マーケティングの部署があっても、その活動は限定的となりがちでした。

しかし、これからのマーケティングは、市場調査から商品・サービスの開発・物流・販売・管理までを網羅するという考え方をしていかなければ、企業運営に効果が反映されません。

マーケティングを狭い定義で限定しない考え方、全社で統一したマーケティングへの意識を浸透させていくことも、CMOとしての使命といえるでしょう。


CMOが活躍する企業の事例

CMOの役職自体にまだなじみの少ない日本国内にあって、すでに大きな役割を果たしている企業もあります。CMOが活躍する企業の事例を紹介しましょう。


日本マクドナルド

一時は300億円ともいわれる赤字を抱えていた日本マクドナルドでは、外部から登用したCMOが業績回復を主導しました。

既存の方法に固まらず、次々と斬新なアイデアを打ち出しては31か月連続の売上上昇を達成。「マーケティングは経営である」という、日本社会にはこれまで知られていない考え方を提唱し、注目を浴びました。

加えて同社では、2017年頃から全国の店舗売上げデータと天候インデックスから、場所・時間・天気・気温などの状況に応じて好まれる商品をリアルタイムで分析する、ビッグデータを活用したマーケティングを実施しています。

顧客データ追跡によりサービスのカスタマイズを強化し、個人に合わせたクーポン型バナーを表示するなどの施策も行われています。利用時間帯の顧客層にアピールすることで、店舗への誘導を図っています。

同社のCMOはその後交代がありましたが、役職は継続して設置されています。


オイシックス

食材の宅配事業の大手オイシックスでは、設立当初から顧客への徹底したヒアリングを実施するなど、マーケティング重視の運営を行ってきました。

同社は「全社員がマーケティングできるようになること」を目標に掲げており、まさに全社横断型マーケティングの見本ともいえます。

その中でも、顧客によりよい体験を提供するためには、集めた現場の声をどのように生かすべきかを考える、多くの部署、働くスタッフと緊密にかかわりながら現場の声を拾い上げて経営に組み込んでいく、それがCMOの責務であるとしています。

同社では同時にIT技術を活用し、顧客情報を広く深く収集しています。

ECサイト上での顧客の行動ログをリアルタイムに分析し、アンケート×リアルタイムデータという独自の手法によって、10万人の会員それぞれに応じた購買画面を表示することも可能にしました。膨大な顧客データの蓄積により、ライフステージの変化に応じたプランの提案も視野に入れています。


ネスレ日本

家庭やオフィスにコーヒーの香りを届け続けるネスレ日本では、CMOによるデジタル変革が実践されています。

コーヒーをはじめとする飲料事業、チョコレート類を扱うコンフェクショナリー(菓子)事業、Eコマース事業など部署を統括・協働したマーケティングを実施するうえで、CMOが部署を越えた全社的なサポートを担っています。

同社CMOを務める石橋昌文氏のもとで、コーヒーマシンのIoT化によるデータ収集、SNSのつぶやきの拾い上げなど、顧客のニーズをつかむためのデータ活用にいち早く着手しました。収集・分析されたデータは、商品の補充・提案に活用されています。

さらに食にかかわる企業として顧客ひとりひとりの栄養を支える「健康のプラットフォーム」をめざすなど、CMOの存在が、未来に向けた取り組みを加速させているといえます。


まとめ:企業に求められる CMO導入とマーケティング観の変革

マーケティングを一部の部署に任せ、限定的なものとしている企業は、いずれ市場競争から立ち遅れてしまうでしょう。

顧客主導型の時代にあっては、多様多彩なデータの分析が求められます。会社全体を分断しない横断的なマーケティング、全社的なマーケティング意識こそが、効果的なデータ活用のためのカギとなります。

すでに米国では多くの大企業が導入するCMOという役職。日本でもモノ・サービスを核とした、従来型の考え方から脱却するために欠かせない役職と考えられます。変わりゆく時代のなかで競争力を一段と強化していくために、マーケティングから経営を考え、広い視野をもつCMO人材が求められています。

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