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キャンペーン数の拡大


改善されたキャンペーン反応率に基づいて、キャンペーンあたりの利益金額が確定された段階で、次はそれを実施するキャンペーン数に適用します。キャンペーン数を増大させるにあたっての障害は、大きく 2つ。キャンペーンの立案から実行、特にリスト抽出作業にまつわる煩雑な時間と、キャンペーンアイデア自体を出すための、いわば「産みの苦しみ」です。

前者に関しては、自動継続型のキャンペーンにしていくことによって解消できます。設定さえしておけば毎日、毎週自動的にリストを抽出し、チャネルに連携してくれるため、このための時間的余剰が生まれます。そしてこの時間を、キャンペーンアイデア立案を行うための分析(および前述してきたキャンペーン精度向上のための分析)に割り当てます。キャンペーンアイデア立案のトリガーは大きく 2つで、顧客動態の変化と、自社が提供している/予定している商品やサービスです。前者の場合は、例えば「優良顧客の顧客数が減少した。どうしよう?」といった発見になりますし、後者の場合は例えば「サービスA をもっと利用してもらいたい、どのような顧客層なら受け入れてもらえるだろうか?」といった切り口になります。

このような形で分析がなされ、キャンペーン立案と実行がなされた結果、キャンペーン数は年間でどれだけ増えるのかがここでの試算項目となります。図2 の続き、残りの部分を検討します。

キャンペーン数

キャンペーンあたりの利益は既に算出済みですので、実施を予定するキャンペーン数に対して、ここでは単純に掛け合わせます。

実施キャンペーン数: 現状のキャンペーン数と、改善後のキャンペーン数を置きます。留意していただきたいのは、新規に立案されるキャンペーンだけでなく、本番実施中の継続キャンペーンはすべてカウント対象となる点です。例えば小売業者がリピート購入を促す目的で、平均的なリピート購入を過ぎた顧客に対して購入を促すキャンペーンを行っているとします。これが次年度以降も、(多少のキャンペーン内容変更、改善があるとしても)継続実施しているのであれば、それは 2年目、3年目以降も 1つのキャンペーンとしてカウントできます。このようなキャンペーンをコンピューターで自動運行させ、例えば毎日自動的にリスト抽出をさせることができれば、マーケティング担当者は煩わしい作業から解き放たれ、心理的にもそこから離れることができるようになります。そして 1つ 1つのキャンペーンの積み重ねが、キャンペーン数の上積みとなっていきます。キャンペーン管理システムを導入することによるダイナミズムの 1つは、このような蓄積性にあると言えます。

全体利益金額: [利益金額合計]*[実施キャンペーン]によって求められます。最終的に各年ごとに得られる効果がここで算出されます。

経済効果分の抽出

[全体利益金額]によって、各年の獲得利益想定額が算出できました。ただし、これは、改善前でも得られていた利益金額を含んだ数値であり、これに該当する利益金額は効果から除外しなければなりません。

利益差額: 各年の[全体利益金額]から、現状の[全体利益金額]を差し引いて算出します。ここでは、改善前として 500,000円の利益が算出されているため、これをそれぞれ各年の値から差し引きます。これによって、費用対効果試算の分子、効果部分が導き出されました。

利益差額累計: [利益差額]の累計値です。向こう 3年間で創出できる利益額の想定値を表します。

経済効果試算を自社に適用する

これで経済効果が算出できました。これに対してシステム等の導入費用を突き合わせれば、費用対効果を算出できますが、その前にいくつか検討すべき点について触れておきます。

この経済効果試算では、自社が実施するキャンペーンの全てを平均して図2 に埋め込んでいます。しかしながら、キャンペーン種別によって効果が異なる場合もあるかと思います。例えば離反阻止/顧客維持のキャンペーン、新規顧客定着化のキャンペーン、顧客単価向上のキャンペーン等、目的別にグルーピングをしている場合もあるかもしれません。その場合にはこの目的別に試算表を作成し、最後にこれらを合計します。これは例えば、チャネルごとに分ける場合もあるかもしれませんし、事業部門や商品/サービスごとに分ける場合もあるかもしれません。このようにグループごとに試算することによって、より試算が現実的かどうかを把握できるようになります。

また、改善のポイントを反応率だけに限定したい、単価向上に限定したい、もしくはキャンペーン数の拡大のみに限定したい場合もあるかと思います。その場合には改善ポイント以外の数値は現状維持のまま利用ください。これによって改善ポイントのみにフォーカスした経済効果試算が可能です。

次に、得られる経済効果が 1つの値だけの場合、多義的に捉えられて、社内で一人歩きしてしまう危険性もあります。試算であることを示し、ブレがあることを前提としていることを共通認識とするために、3つほどのシナリオを用意する方法もあります。例えば最大限利益を獲得できた場合が試算A、最低限この程度の利益が獲得できるという値を試算C、その間の平均的な値を試算B とするといった形式です。

最後に、非現実的な試算シナリオでないかのチェックです。例えば、顧客数が 100名として、これらの顧客に対して、年間に案内可能なキャンペーン数はどの程度でしょうか。仮に 1人あたり月1回が限度で、それ以上は過剰な案内であるとするならば、年間案内顧客数の合計は 1,200名が限度となります。同様に顧客からの支持を得られないような単価の向上もチェックの対象となります。また反応率に関しても、同じプッシュ型のキャンペーンを改善させることを想定していて、それのベースが 5%なのであれば、改善後に 50%になるということはあまり現実的に思えません。ただし、異なる形式のキャンペーンを増加させていくのであれば、このような改善も想定できます。例えば当社のお客様のケースでも、イベント主導型のキャンペーンを行い、50%を超える反応率を実現している例もあります。もちろんその場合には案内顧客数を大胆に絞り込んで実現していますが、いずれにしても何をやろうとしているのかによって、現実的な想定値、期待値は異なるはずであり、実際の試算の際にはこのチェックが必要となります。


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