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データとアナリティクスがもたらす「攻め」の金融ビジネス経営


データとアナリティクスが金融ビジネスに与える新たなビジネスチャンスや価値は何か?アナリティクスの専門家であり数多くのソリューションを導入してきた渡辺高と、金融業界での様々なビジネス経験に基づく業界知識・業務知識でお客様の課題を整理・解決してきた石井一君の2名の金融担当のインダストリーコンサルタントに話を聞いた。

AI流行の背景にあるデータとアナリティクスが競争力の源泉との認識

--現在、金融業界におけるアナリティクスとしては、どのような分野が注目されているのでしょうか?

石井 : 昨年からの傾向ですが、ご存じのとおりAI(人工知能)を使ったソリューションに大きな注目が集まっています。導入試行に取り組む金融機関も増加していますが、機微情報が多いことからクリアすべき課題がまだ多いようです。

渡辺 : データとアナリティクスの活用が自社の競争力を強くするという認識が高まっています。これまではBI(ビジネスインテリジェンス)ツールによる自社の現状認識と管理が中心でしたが、現在ではAIを活用して、自動的に予測をすることが議論の中心になっています。 従来のデータ活用投資が「守り」に近かったのに対し、新しいことに取り組んで競争力を高めていく「攻め」の方向に変わってきています。その流れの中で、今年は昨年よりも多くのPOC(概念実証)が実施されるでしょう。ただ、期待に応え得るAIの実用化は限定的になると予想しています。

石井 : 銀行法が改正され、金融業界全体がFinTechに代表される新しい技術の採用に積極的になっておりAIやビッグデータに注目が集まっています。

渡辺 : 金融システムに関しては、2015年からFinTechが盛んで、その中で新たなスタートアップ・プレイヤーが出現しています。彼らはビジネスの中核にアナリティクスを組み込んでいるので、既存の金融機関もアナリティクスに精通しなければ対抗できないとの危機感を持ち始めています。

このことも、金融業界全体におけるデータとアナリティクスの活用に拍車をかけています。まずボトムラインを下げて次にトップライン増大を目指す̶̶ 具体的にはどのような分野でAIを活用しようとしているのでしょうか。

石井 : まだ試行レベルではありますが、与信、不正検知などの分野が注目されているようです。

渡辺 : その他に、コールセンターなどでの顧客とのコミュニケーションがあります。また投資信託の分野では、自動的にポートフォリオを作成し、対話的にアドバイスを提示する、いわゆるロボアドバイザーへの適用もあります。これらが本当にAI技術を活用しているかどうかは微妙なところがありますが。

-- その辺りは欧米が先行していると思いますが、日本との違いは何ですか。

渡辺 : ロボアドバイザーには、人件費を節約して手数料を下げる狙いがあります。欧米では投資が盛んですから投資信託の手数料を下げるニーズがありますが、日本では投資信託自体が欧米に比べると活発ではないので、そのニーズもあまりないのです。マイナス金利など、個人による投資を活発にしたい意向もありますが、なかなか変わらない。ただ、ロボアドバイザーやAIを活用して、投資への関心を呼び起こすことができるのではないかという期待感はあります。

-- 金融業界でも銀行とクレジット業界や保険業界で状況は異なるのでしょうか。

石井 : 基本的には同じだと思います。AIを使った自動化の先にあるのは業務の効率化・サービスの均一化であり、ボトムライン(最終損益)の改善です。トップライン(売上高)を上げるという施策も今後盛んになるかと思われます。

渡辺 : カードや保険では、営業所やコールセンターを持ち、サーバーやネットワークなどを膨大に所有することが存続要因になっていました。しかし、デジタル化の進展で、データとアナリティクスの活用が競争力の源泉になってきていることを感じ始めていて、そちらに積極的に投資していこうとしています。

AIプレイヤーとしてのテラデータの強みとは

-- テラデータがAIのキープレイヤーという認識が、市場にはあまりないように思います。

石井 : 我々にとってはそこが喫緊の課題だと思っています。データアナリティクスを提供する企業として、AIの分野はテラデータの強みを生かせる市場なので、積極的に関与していきたいと思います。

渡辺: 「 データを活用した意思決定の自動化と高度化」がAIの1つの目的だとすると、大量データの高速処理や分析手法の高度化が必要です。特にAIの学習のためには大量データの高速処理が必要で、テラデータは元々この分野に大きな強みを持っています。プラットフォームの提供はもちろん、業務適用もずっとやってきましたし、最近ではアナリティクス・ビジネス・コンサルティング、つまりビジネス課題を起点としたコンサルティングにも注力しています。これらを組み合わせてAIを実業務に適用していくことは、まさにテラデータの使命ではないでしょうか。我々インダストリーコンサルタントが顧客の課題解決に役立つ提案を行い、その手法としてAIが活用できるのであればAIの専門家がアルゴリズムを実装し、データサイエンティストが実際のデータ利用とアルゴリズム活用を考える。さらに、実現のために、ハードウェアを構成し、ソフトウェアを設定する――。テラデータの最大の強みは、これらの人材を全て1社で提供できることです。

石井 : 課題整理から最終的なデプロイまで可能な企業は、他にはあまりないですね。

-- 業務に適用していくための具体的な手法はあるのでしょうか。たとえば、ビジネスバリューフレームワーク(BVF)はそれに該当しますか。

石井 : BVFはテラデータの貴重な知見を業務ジャンルごとに集約したもので海外事例も豊富にあるとこから、単に最適なソリューション事例というだけでなく、お客様の事業変革のヒントとしても好評です。

課題が漠然としている段階でのコンサルタント活用を推奨

-- お客様がテラデータに相談する場合には、ある程度課題を整理してからの方がいいのか、漠然としていても構わないのか、どちらでしょうか。

石井 : 漠然とした段階でいいと思います。我々との対話の中で課題を絞り込んでいって、その課題に対する我々の解決策をご提案するわけですから、ざっくりと「何々をしたい」「何々をして欲しい」ぐらいのレベルから話を始めてもらえばいいのではないでしょうか。

渡辺: 「 こんなことを聞いたのだけど」からでもいいと思います。たとえば、話題がディープラーニングでしたら、「他社でどういう使われ方をしているのか」「技術的な評価では、どういうプラスとマイナスがあるのか」「活用のアイデアとしてこういう話を聞いたのだがもっと詳しく教えてくれないか」「こういう業務課題には適用できるのか」というような興味・関心に対して限りなく中立な視点で議論ができると思うのです。

--まだまだPoCレベルの案件が多いということですが、PoCの次にやるべきことはお客様側が考えるべきなのでしょうか。

石井 : 我々は数多くの分析から知見を得ており、また事例を蓄積し業務ごとに最適な提案が出来る準備をしていますので、我々からお客様の変革ロードマップにあわせた提案が可能です。

渡辺 : 今年度はまだPoCが多いと予想していますが、市場も成熟してきたと感じます。AIでもデータの視覚化でも、これまでは道具を入れるだけで満足している部分があったのが、ビジネスでの成果をきっちりと求められるようになりつつあります。

石井 : 金融業界全体が急速に変化していく中、テラデータもその変化に迅速に対応していく必要があります。業界の急速な変化を受け、今年からアナリティクスの専任部署も組織されました。この体制の下で、先進的な海外の知見も活用しながら、当社のお客様がマーケットリーダーであり続けるための最適なソリューションを提供し、ご支援が出来ればと考えています。

※本ブログは2017年5月発行Teradata Magazine Japan Special Edition 2017のインタビュー記事を掲載しています。


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