(国内最大級のデータウェアハウス&データ活用コンファレンス「Teradata Universe Tokyo 2014」セッションより)

株式会社 千趣会 | ビッグデータがデータ分析の質を変え『リアルタイム・パーソナライズ』の実現を目指す

カタログ通信販売大手の千趣会では、顧客管理や商品管理、カタログ発行などにデータを活用しています。ただし近年は、パソコンやスマートフォンからのアクセスが増え、Webアクセスログが増加し、また分析内容の複雑化による分析環境のパフォーマンス低下といった課題が発生していました。その一方で、カタログやインターネットなど複数のチャネルで発生するデータを統合して顧客行動をきめ細かく把握するといった、新しいデータ分析方法に対応できるシステムへの要求も高まっていました。そこで同社ではデータ分析環境を刷新し、サイト閲覧履歴などを活用した高精度な顧客行動予測を実現することで、販売力、マーケティング力の強化を目指しています。

ネット通販の利用拡大でデータ領域が逼迫

「ベルメゾン」ブランドによる通販サービス事業を展開する千趣会。ファッション・衣料をはじめ、服飾雑貨や生活雑貨、家具、インテリア用品に至る専門店型の品揃えと、生活提案型の独自のカタログスタイルにより、女性を中心とする顧客から大きな支持を得ています。「女性の毎日に笑顔を届けることを通じて、ひとりひとりを幸せに、そして世界を幸せにする企業となること」をコンセプトに、女性のライフステージに沿ったサービス・商品を、カタログ、インターネット、店舗といった販売チャネルを通じて提供しています。
「通販事業を中核事業として展開する当社にとって、顧客接点となるこれらのチャネルを分析することは非常に重要な経営テーマです。そこで『誰にどのようなカタログを配布するか?』、『カタログはどのような品揃えが適切か?』、『カタログの販売期間中の在庫をどのように確保するか?』など、多様なデータ分析を長年にわたって行ってきました」と千趣会の西口 浩司氏は語ります。
千趣会では、そうしたカタログ通販事業における顧客情報分析のプラットフォームとして Teradata を採用し、1995年以来、運用してきました。
ところが 2011年頃から、インターネット通販の利用拡大を背景に Webアクセスログが急増し、システムのデータ格納領域が逼迫。Webアクセスログ検索におけるパフォーマンスも低下するという状況となりました。「高度な分析を行うようなケースでは、システムからクエリーに対する結果が返されるまでに約5時間を要するといったケースもありました」と西口氏は当時の状況を振り返ります。
また一方で、カタログ販売、インターネットなど複数のチャネルで発生するデータを統合して顧客行動をきめ細かく把握するといった、新しい分析方法に対応できるシステムへの要求も高まっていました。

多彩な関数を駆使してWebアクセスログを解析

そこで同社では、データ分析プラットフォーム刷新の必要性を感じ、情報分析系業務の再構築プロジェクトを発足。データウェアハウス用アプライアンスを Teradata Data Warehouse Appliance の最新機種に置き換えるとともに、ビッグデータ分析プラットフォームとして Teradata Aster Big AnalyticsAppliance(以下、Teradata Aster)を新たに導入することを決断しました。
データウェアハウス用アプライアンスの選定については、複数ベンダーの製品を交えて今後多様化・膨大になるデータ分析に最適なプラットフォームという観点からトータルな検討を実施。既存SQL資産が活用できるといった移行の容易性、スピード、さらにはパフォーマンスなどを考慮して、最終的にTeradata製品を継続採用することになりました。「特にパフォーマンスについては、以前約5時間を要していたようなクエリの結果が 7分程度で返ってくるという成果も得られています」と西口氏は紹介します。
一方、Teradata Aster の採用については、Webアクセスログ解析が可能となることへの期待がありました。「Webアクセスログには、お客様の買い物にかかわる“足跡”が残されています。結果的に同じ商品を買ったお客様でも、そこに至るプロセスはお客様ごとに異なっています。例えば、様々な商品を比較しながら逡巡したのちその商品を購入するケースもあれば、当該商品のページを見て即座に購入を決定するケースもあるわけです。そうした Webアクセスログから得られるお客様の詳細な購買行動を分析するためには、Teradata Aster の導入は最も有効なアプローチだと考えました」(西口氏)
加えて、Teradata との高度な連携性はもちろん、データ抽出結果のビジュアル化機能や統計関数、データマイニング関数など多彩な機能、関数を搭載していることも重要なポイントとなりました。こうした経緯から、千趣会ではデータ分析プラットフォームを刷新。現在、Teradata Data Warehouse Appliance と Teradata Aster がそれぞれ稼働しています。

組織や人的な側面からの取り組みにも着手

千趣会では、こうしたプラットフォームの刷新と並行して、データ分析力の向上を図り、ビジネス競争力の強化につなげていくための 3つの取り組みにも着手。具体的には、「分析組織力の強化」、「分析者自身の強化」、そして「分析データ環境の整備」を推進しています。
まず 1つ目の「分析組織の強化」に関しては、「全体分析」、「カタログ分析」、「ネット分析」と別れていたグループを単一のグループに統合しています。「グループの垣根を取り払って、顧客、カタログ、ネットの分析を行うメンバーがスムーズに連携できるようにすることで、より高度なデータ分析が行える体制への移行を図りました」と西口氏は説明します。
また、こうした分析組織の変革は、2つ目の「分析者自身の強化」にもつながっています。それぞれの分析グループがこれまで蓄積してきた知見が集約されることで、分析力はもちろん、コミュニケーション力やビジネス知識などをさらにブラッシュアップしていける環境が整ったからです。
「各分析グループがそれぞれ独自にやってきたノウハウやスキル、分析手法、さらにはお互いのビジネス領域での課題や理解が全体で共有された上、データ分析を行う上でのコミュニケーションも活性化しています」(西口氏)。
最後に 3つ目の「分析データ環境の整備」については、多くのユーザーが容易に分析を行える環境の構築に取り組んでいます。従来は分析を行うメンバーの要求に応じて、新たなテーブルを追加していました。こうした対応により、分析者の自由度は高まりましたが、逆にスキルの高くないライトユーザーにとっては使いにくい構成となり、スキルを持つ分析者が様々な分析業務を代行せざるを得ない状況が発生。結果的に、分析者の負担が増加していました。「そこで、ライトユーザーが使いやすいようにデータの再構成を行い、さらにその品質を保てるようガバナンスを効かせるための仕組みを構築しようとしています」と西口氏は紹介します。

目標は「リアルタイム・パーソナライズ」の実現

今後も千趣会では、こうした一連の取り組みをさらに強化していくことで、自社のデータ分析力をさらに引き上げていこうとしています。その中でも特に重要なテーマとして捉えているのがビッグデータの活用です。

そこで同社では Teradata Aster に実装されている SQLMapReduceの習熟と使いこなしを推進。その一方で、Teradata Aster が提供する nPath関数を駆使して Webアクセスログからのパス分析なども進めています。こうした分析よって「実需ベースによる顧客行動の予測から「サイトの閲覧履歴も使った高精度な予測」へと進化させていくことが可能となり、それを販売力やマーケティング力の強化につなげていこうとしています。

「当社が今後、目指しているのは、ビッグデータの活用により、今までの十人十色を越えた、もはや一人十色ともいえるお客様に対する『リアルタイム・パーソナライズ』の実現です。それにより、顧客ロイヤリティを高めるための “カスタマー・ジャーニー”を創り出すことができるはずです。それに向けて我々マーケッターは、定量化されたデータ分析のみに頼るのではなく、定性的なデータをも活用できるよう、自らの感性を研ぎ澄ませていくことも重要だと考えます」と西口氏は語りました。

(本事例は、国内最大級のデータウェアハウス&データ活用コンファレンス「Teradata Universe Tokyo 2014」のセッションで発表された内容です。)